呪いの唄を聞かせたもう ③
私が泣きながら必死に逃げていると。
「ヘイトスワップ!」という声が聞こえる。
誰が使った? 知っている人の声だったんだけどさ。とみると、そこには美鈴……もというぉたぁの姿があった。なんか急いできた感じがする。
美鈴は私を見る。
「お姉ちゃん。私がヘイト受け持つよ」
「うぉたぁ……」
ヘイトスワップ。それはたしかパラディンの奥義だった気がする。
なぜ美鈴がそんなスキルを持っているのかはおいておいて助かったのは事実だ。ただヘイトスワップ一度使うと戦闘ではもう使えないはず。一回の戦闘に付き一回きりのものだったはずだ。
正直言うと助かった。死ぬかと思ったんだよこれ。いや、まじで。
「本当は私も暗殺者だからヘイト受け持つにはちょっと厳しいところあるけどお姉ちゃんよりはたぶん大丈夫だからさ。こいつに関しては」
「全くその通り」
美鈴は昔から怖いもの知らずっていうか。幽霊?ああ、そう。見に行こうっていう感じの妹なので寧ろ頼りがいがあるっていうか。
私とは違って幽霊に好意的な女子だし、なんか活発すぎて幽霊が逆に避けているような気がする。
「じゃ、攻撃ドンドンしちゃって!」
美鈴がそういって、攻撃をかわし始めた。
美鈴は私の妹だ。
私のスペックも多少なりともあるっちゃある。むしろ体術では私より上なんじゃね? 動体視力は私のほうがあると思うけど。
一回掠って呪われたので解除する。
「触れたらだめか……」
「触れたら呪われるからね」
「オッケー。燃えるね」
美鈴がやる気を出した。
そして、ガシャドクロは攻撃をやめ、胸に手を当てる。こういうモーションはあれだ。歌おうとしている。どうにかして止められないだろうか。
とりあえずどうしようもないので自分の手で耳を塞ぐ。
その時、爆発音が聞こえた。
思わずそちらを見るとガシャドクロは胸から手を離し、また攻撃を始める。
え、爆発効くの?
「わかった! 歌うモーションになったら爆発かなんかで怯ませればいい!」
「対処わかったならこいつは雑魚だぜ! それさえ対策できたら楽勝だ!」
ぱっつたちは攻撃を始めた。
どんどんと体力が削れていく。そして、ガシャドクロは瀕死の状態になる。その時、歌声が聞こえる。最後のあがき? ノーモーションで歌い始めた。
私たちの素早さが下がる。呪われた……!
「最後の最後にあがくのかよ……! あともう少しだってのに!」
「じょ、状態異常回復!」
みんなにかける。
また、私にヘイトが集中してきたぞ……。と、瀕死のガシャドクロは私に向かって大きな拳を振り下ろしてきた。私は躱そうと思ったら転んでしまい、そのまま……。
「お姉ちゃん!」
美鈴が私を突き飛ばし、代わりに吹き飛ばされる。
美鈴は吹き飛んでいった。そして、これが最大の必殺技だったんだろう。防御力が低い暗殺者ではワンパンされたのだった。
すかさず蘇生した。
「ありがとう」
「い、いいんだよ。は、初めて死んだ……」
とはいえ、もうこいつは終わりだ。
《ミキ、うぉたぁ、ラガン、ダイソン、ぱっつ、ぬこ様、キルミィの手により第九層エリアボスであるガシャドクロが討伐されました》
《Another Arcadia Onlineのアップデートを始めます。皆さまは一時間後には強制的にログアウトさせられます》
長かった第九層もこれで終わりだ。
第十層はどうなるのかな……。
あとは閑話をはさんで第十層かな?
あとガシャドクロの解説しておきますね。
・妖怪ガシャドクロ
ミキが言った通り妖怪なので何回も復活します、なので次の階層行くときは絶対に倒す必要があります。
それもあってか他のボスとは違って素材も剥ぎ取れますし、他のボスよりはちょっとだけ対処は簡単かな?
そして、耳栓があったらもう雑魚ですね。
A2Oにはアイテムとして耳栓があったのですが、使う機会が今までになかったんですね。デカイ咆哮をあげるモンスターはいましたが耳栓使うほどでもなくて…。耳栓は不遇アイテムでした。
耳栓があったらあとは直接触れる以外の攻撃なら大丈夫です。
ちなみにいうとガシャドクロ相手するのに一番ダメなのは武闘家ですね。ツメとか使うならまだしも基本素手で戦うので。足技くらいしか打てなくなります。
で、剥ぎ取れる素材↓
(ノーマル素材)
呪われた頭骨
呪われた胸骨
呪われた腕骨
呪われた脛骨
(レア素材)
呪われた脊髄
(激レア素材)
恨み辛みの勾玉
絶望の蝶形骨




