選ばれたのはプレゼントでした
ソマリさんが戻ってきたのは二時間後だった。
「ハァーイ! たくさん買ってきたワ!」
両手にはすごい紙袋。
お土産だけを買ったとは到底思えない。というか、お土産以外も買ってるでしょう!? すごい量なんだけど!?
ソマリさんは真ん中に座った。
「ハイ、これが美咲ちゃんが渡すプレゼント。真野は実用性のほうが好きそうだと踏んで買ってきたワ」
中をのぞくとヘッドホンが中に入っていた。
そういえば真野ちゃんの部屋にヘッドホンあったな。あれは北海道とか九州とか遠いところにいくときには必ず持っていくんだとか。
ほーん。実用性……。
……ん?
「これ、A2Oのカーリ様がぷちきゃらになった絵が描かれてない……? こういうの発売されていたっけ?」
「発売される前ネ。私、昨日もらったのだけれど使わないからあげようかト……」
「もったいない!?」
「私、ヘッドホンはつけないノ。イヤホンだけでいいノ」
「とはいってももらいもんだしこれ、非売品……」
「いずれ発売されるワ!」
「いやいやいや!」
というかソマリさん運営とつながってるんですか? これ持ってるってことは。
これを拒否しても無駄そうだし仕方がなく受け取って真野ちゃんのプレゼントにするか……。これ私があげるプレゼントっていうよりソマリさんが私を仲介してあげるプレゼントって言ったほうが正しいような気はするけど。
「真綾はぬいぐるみネ。クレーンゲームで粘ってきタ」
「うわでかい……。これ隠せないよね」
「六月三日まで真野ちゃんが来ないことを祈るのみだね」
真野ちゃん来た瞬間にそのでかさのぬいぐるみはバレる。
というか、真野ちゃんいつくるかわかんないしね……。
「選ぶものは最適なんだけどな……」
「チョイスがね……」
こう……チョイスが違う。真野ちゃんの趣味嗜好とかわかってる分観察眼はあるんだろうけどね。微妙に違うんだよ……。
まぁ選んでもらった手前文句は言えないけど。
「そして、あなたたちにもお土産があるワ!」
「お土産?」
「じゃーん、おそろのパーカー!」
と、三着おそろいのパーカー。赤いパーカーだった。
「これ、ワタシのネ。これ真綾。これ美咲ちゃん」
と、手渡されるパーカー。
着てみてという視線が痛いのでとりあえず上からはおることにした。
「グッド! 似合うワ!」
サイズぴったし……。
私の主観だけど貧乳ってパーカー似合うよね。誰が貧乳だコラ。
「ふっふーん! ベリグッ! 気分最高潮! さ、仕事に行ってくるワ!」
ソマリさんは気分よく鼻歌を歌いながら病室から出ていった。
「「はぁ」」
私と真綾はため息を吐いた。