呪いにかかった
私は逃げた。チリンたちが引き止める声も聞こえずに泣きながら逃げた。私だって嫌いなものとか苦手なものとかあるの! 幽霊嫌なんですぅ!
あの真っ白な幽霊から、できるだけ遠く、遠くへ。わき目もふらず走っていく。気が付くと知らない森の中にいた。
……ここ、どこ?
迷子。
いや、ここでチリンにフレンドメッセージを送れば大丈夫か。いや、でもここがどこだかわからないからチリン達も来れないんじゃないだろうか。
……って、アレ?
あそこにいるのは……。チリン達? どうなってるんだ?
近くに寄ってみる。あの幽霊はいないようだ。
「ミキどこまで逃げたんだ?」
「私が追ってくる。見つけたらフレンドメッセージで」
と、遠くでチリンたちが話している。
ツンツン。
「ミキ」
「ん? なに、チリ……」
肩を叩かれた感触。チリンの声で呼ばれた名前。反射神経でチリンと言ったのだが。
違っていた。なんと、あの青白い幽霊だったのだ……。幽霊が私に手をかざす。え、なにするつもりなの? な、何をぉぉぉ!?
こ、こわっ、コワイっ!
「誰か助けてえええええ!」
「ミキの声だ!? そっちか!」
「……あれ? ミキさんが逃げた方向の逆方向から聞こえてるような……。気のせいかな?」
私の叫びに反応してくるチリン。すると、幽霊は消えた。
こ、怖かったぁ……。
さ、さてと。ち、チリンたちと合流を……。あれ? なんか妙に装備が……。おろろ? でかいぞ? なんだこれ。なにこれ。
「ミキ!」
「チリン!」
チリンたちが駆け付けてくれた。
「怖かったよぉぉ! ありがとう! 駆けつけてきてくれて!」
「…………」
「チリン?」
あれ? な、なんで止まらないの!? ちょ、ちょっとぉ!?
私は、チリンに踏みつぶされてしまった。
もちろん、防御が低いために、一撃でノックアウト、リスポーン。第一層エリアの精霊樹の前にいたのだった。
「……死んだ」
二回目死んだ。原因は圧迫死……? 最初が餓死で二回目が仲間にやられるってなんとも微妙な死に方だなあ……。
チリンにメッセージを送っておこう。
それにしてもなんでチリンはあんな身長が高かったのか。それだけが疑問だけど……あれって絶対妖怪のせいだよね? 友達妖怪召喚して……ってそうじゃない!
あれは絶対あの幽霊の仕業! うううう! 悔しいよ! 私が怖くて何もできないのをいいことにしてえ! 訴えてやる!
私は外に出た。
すると、まだ、周りの人はでかくなったままだった……。
――あれ?
な、なんで私の周りの人はそんなデカいの!? 巨人化の呪いがかかってるの!?
「あー、小人さんがいる」「かーわいい」「あれ? この小人の顔どこかで……」
こ、小人? 小人って私のことか!?
小人っていうけど私は普通のサイズだからね?! いや、たしかに胸は小ぶりだよ? 妹みたいにおっぱいはないよ? 私にはお母さんの胸のデカさの遺伝子が受け継がれなかったのは仕方ないにして、それ以外は普通サイズのはずだ!
私が小さいんじゃなくて他の人がでかくなったんだと思います!
……いや、だとしても建物めっちゃ大きくね?
い、いやいや。建物もでかくなったんだ。そうに違いない。私は普通のサイズ。いいね?
か、確証を持つために私自身を鑑定してみよう。そうしたら真実が……。
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Lv.36 ミキ 種族:精霊王 女性
HP:208/208
MP:739/739
満腹度:100
呪い:小人化
(省略)
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あははは。相変わらずの紙装甲だなあ。
そして魔力とかさすがは精霊王だけあり高いな!
……現実を見よう。
こ、小人化という呪いに、陥っているということを。
アンデッドがよくやってくる攻撃です。
呪いは死んでも回復はしません。呪いを解きたいなら教会に行くことですね。あれです。要するに呪いの装備をつけたみたいなものです。
小人化以外に洒落にならない呪いもあります。たとえば防御無効とか?
小人化は運営の趣味です。運営(作者)の。
説明:フレンドリーファイアは基本的にはありません。ですが混乱や特定の呪いを受けてしまうと味方の攻撃が通ってしまいます。
小人化もその特定の中に入ります。はい。