GW特別閑話 広瀬先生の合宿 ①
予約投稿ミスって一時になってた。気づいたの投稿される直前だし今日は一時になりました。
5月1日。ゴールデンウイーク五日目。今年は最大十連休というバカげた休み。私は今浴衣に着替えていた。
ここは箱根のとある旅館。ゴールデンウイークという長い休みを利用して旅行……ではなく合宿に来ていた。私が担当するバスケ部の強化合宿。
私は生徒たちが走ってる中一人浴衣に着替えて走り込みが終わるのを待つ。
「先生浴衣姿似合ってますね。可愛いですよ」
「そう? ありがとう。こういうの本当はガラじゃないんだけどね」
私はこういうものをあまり着ない。普段はファッションは気にしたことないんだよね。部屋だとTシャツだし。基本的に動きやすさを重視している傾向がある。
で、今なんで浴衣着てるかというと生徒たちが喜ぶかと思ったから。ランニングに乗り気じゃなかったので浴衣着て応援してあげると冗談で言ったら本気だした。うん、引くに引かれないので着てきたんだよ。
「うちの男子煩悩塗れですいません」
「いやいや、高校生はこんなもんでしょ。私の高校生時代にも好きだって言ってくれた人が結構煩悩塗れでさ。今その人なにしてるかわかんないけど」
好きだ、って言ってくれてた割にはアプローチも何もしてこなかったような。いや、いいんだけど。
「先生って高校時代どうだったんですか?」
「どうって?」
「楽しかったですか?」
「んー、どうだろ」
最初の一年は楽しめなかったような。二年生で修学旅行とかゲームとかやって楽しく遊んでて、三年生になって進路で。必死こいて勉強して……そして、卒業した気がする。
これといって楽しかった、って断言できるものはないかもなぁ。
「思い出はあるよ。でも、楽しいって思ったのは常々だしこれといって特に楽しかったって思えるものはないかなぁ」
「そうですか。私はこれから作ってく予定ですよ」
「そうだね。高校生は今のうちだけなんだからね。楽しまないとドンドン歳とってくよ」
「歳とかいうけど先生もまだ25歳じゃないですか」
「25歳だからやばいんだよー」
だんだん日がたつのが早く感じてねぇ。朝起きたかと思えば気づいたら夜になってまた朝になってるし。時間経過が早く感じる。
今でこの調子なら三十歳でアルツハイマーとかなってそうで怖い。
「お、おわ、おわりました先生……」
息を切らしてみんな立っていた。
ぜぇぜぇと息を吐き、そして、マネージャーたちからスポーツドリンクを手渡される。それを気持ちよさそうに飲んでいた。
「お疲れ。明日も走った後、近くの高校と練習試合があるからね。気を引き締めるように」
「先生!」
「なんですか?」
「今日はもう終わりですか!」
「うん。今日は一日何もしませんよ。せっかく箱根に来たんですから一日くらい自由を与えませんとね。ただ、人様に迷惑をかけないこと。ルールを破ったらすぐに帰りますから」
「「「「「はーい」」」」」
生徒たちは気前よく返事をした。
煩悩にまみれてるからといってダメなことはしないはずだ。……多分。
ゴールデンウィークなんでね。特別な話を入れてみたかった。