番外編 エルルゥの普段
「今日はこれくらいにしないとな」
私の名前は水鏡 絵瑠。みんなからはエルルゥと呼ばれている。
今日も元気にA2Oをプレイしていた。精霊の守護者というギルドに幼馴染である篠田 ルルークと一緒に。
「さーてと。行きますかねえ」
私は釣り竿とクーラーボックスその他もろもろをもって車に乗り込んだ。
私は大学に進学し、現在一人暮らしをしている。彼氏はいない。
プログラミングの専攻を受けている。理由はA2Oだ。私もゲームを作りたい。ただそれだけの理由。シナリオライターでも、プランナーでもなんでもいいからゲームに関する職業に就きたい。
そんな私の趣味は釣りとゲーム。
釣りは父さんの趣味でもある。父さんといっているうちにいつのまにか好きになった。
椅子を広げ、三脚を立て釣竿を大きく振りかぶる。
シュルシュル~と糸が遠くまで飛んでいった。
「さて、かかるまで待つかな」
釣りは耐久だ。
獲物が食いつくまでじっとしていること。それが大事。針を飲み込むまでは引き揚げちゃダメ。魚によってタイミングがあるから注意しなくてはならない。
ヒラメなんかは食べるの遅いから10分くらい待つこともある。
すると、くいっ、くいっと釣竿が動いた。
うーむ。ヒラメだ。たぶん。なら、もうちょい待たないと……ってこっちの竿も引っ張られてる! こっちはヒラメじゃない! じゃ、釣るか!
リールを巻きあげる。
もちろん魚が逃げないようにきちんとして。
「おお!アジか!」
今日はフライかな? 新鮮なアジをさばいて開いて揚げて……。食べたくなってきた。帰りにパン粉とレモンとキャベツ買ってこう。
ふぅ。まず滑り出しは順調。このままの調子で――
「美咲ぃー。ヒトデ釣れた!」
「でっかいね。ヒトデって釣れるんだ」
隣ではなんかヒトデ釣って喜んでいる女性二人。
ヒトデとか釣り人にとっては害悪でしかないよ!? イソメ食べちゃうし魚が食いつかなくなるんだよ!? ヒトデ釣るとめちゃくちゃ腹が立つんだよね。
って、そろそろいいかな。こっちの釣り竿。
そーれ!
「大漁大漁!」
今日は運がよかった。ヒラメ五匹にアジ7匹。もちろん一人じゃ多いし隣の人におすそわけしなくてはな!
ふふ、お隣の人。子供が四人いるママさん。どうやら本当の親が死んじゃったらしくて兄妹を引き取ったらしい。おかげで昼間は私のところに子供を預けてくる。可愛いからいいし、ありがとうといって金もらえるんだよね。いや、金は要らないって突っぱねたことあるけど効く耳もたなかったし素直にもらっている。
私がクーラーボックスを抱えて戻っていると私の家の扉の前に男の子がいた。噂をすれば影。隣の子どもだ。名前はミチくん。
「ミチくんどうしたの?」
「……おかあさんおしごとはいっちゃったからおねえさんのところいってきなさいって」
「ああ、そうなの? んじゃ、ちょっと待ってねえ」
鍵を開ける――
「ほら、あとの二人も連れてきなー」
「ハチ姉ちゃんは遊びに行ったし陸奥にいちゃんはぱーりぃしてくるって」
なんだよパーリィって。レッツパーリィ?
「ミチくんだけなんだね。わかったよ」
まったく。シングルマザーというのも大変なものだね。
私は子供産んだことないから勘違いしないでね!!
イケメン女子のリアル生活は案外女子力高いです。また、エルルゥは女子力高いくせにちょっとぐーたらです。
次はルルーク書くぞ……!