殺戮の意 ②
ゴエモンは腰に差していた短刀を取り出し投げつけてくる。
躱すとその躱した先にナイフが飛んできていた。先を読まれてる……? もしかしてこの殺意は操っているわけじゃなくて本人の気持ちを増幅させているようなものだろうか。
つまり、そうなると戦闘技術はゴエモンだけとなる。ゴエモンを相手どると同じことだろうな。
「先を読まれるってのはきついな」
私は先読まれるのが苦手だ。
相手は私がどう対処するかを読んでいるし、実際私もそういう風に行動してしまう。私の戦い方はアドリブのようなものだけれどそれを読んで合わせられたら調子が狂う。
勝つ方法は私もゴエモンの行動を先読みするしかないのだけれど。
「セイレーン! 殺意の対処方法は知らないの!?」
「伝承によれば大事な人をこの場に連れてくると治るというが、そんな人いるか?」
「……大事な人」
ゴエモンにとって大事な人。
私はある人しか思いつかなかった。
「いる。セイレーン。魂魄の宿に泊まってるコマチって人を連れてきて。私は耐えてるから」
「わ、わかった」
セイレーンはかけていく。
ゴエモンは今度はデカいハンマーをどこかから取り出した。そして、そのハンマーで思い切り叩きつけてくる。これを躱すとその先に多分違う攻撃が待っているんだろう。
意表をつくにはどうしたらいいんだろうか。耐えることはできると思うが無駄にダメージを追う必要がない。そもそも、主神とはいえもともと他のプレイヤーより防御力は劣っている。大ダメージは間違いないだろうな。
「なら、相殺するしかない」
私はデカい魔法をぶつける。
衝撃がゴエモンにも伝わったのかハンマーがはじかれてどこかにいってしまった。すると、今度は私の腕にロープがまきつけられる。
なるほど、読まれてた。だから嫌いなんだよ。腹の探り合いってのは。腹の探り合いにはめっぽう弱いんだ。
私はナイフでそのロープを切ると目の前にゴエモンが迫っていた。右手には刀を手にしていて。
思い切り振り下ろしてきたので私は懐にしまっていた短刀を取り出して刀をはじいた。
ゴエモンは多彩な武器を駆使して戦うスタイルだ。
どんな武器かによって対応方法は変わるだろうし、ハンマーなど物理系ならまだしも刀系などの刃物はやばい。
すると、今度は私に向かって何かが投げられてきた。思わず反射的にそれをキャッチしてしまう。
導火線には火が付いており、見るからに爆弾で……。私は思いきり空に向かって爆弾を投げた。上空で爆発し、火の粉が辺り一面に降り注ぐ。
あっぶない! 爆発系もやばいんだって! 精霊王しかり、生命の主神しかり。私たち王にも弱点属性があるらしい。
普通のプレイヤーは装備をつけたら弱点になるとかそういうのだけれど、王たちは最初から弱点属性が決まっている。
私は爆発と火に弱い。爆発なんてくらったら相当やばい。
「ゴエモン……ほんと多彩な武器を使って厄介だ」
敵に回したくなかったよ!
ゴエモンが出した武器
・短刀 ・ハンマー ・刀 ・爆弾 ・ロープ
ゴエモン自身アイテムを駆使して戦うテクニカルなキャラです。