第一回目精霊王イベント
ログインしました。
ひとの行きかう噴水広場。私はチリンがログインするのをひたすら待つことにした。チリンは……時間にルーズなのだ。寝坊なんてしょっちゅうだしもうわかってるからなにもいわないでおくけどさ。
でもまあ、直してほしいよ。こういうところは。
チリンと待ち合わせして最大待ったのは2時間。駅前でずーっと待ち続けていた記憶がある。あの時は人の視線が痛くてずっと立っていたから待っているのが苦痛だったよ。そのあと遅れてきたチリン――珠洲をぶん殴ったけどね。
ああ、あの時を思い出すと腹が立ってきたな。いい子なんだけどそこだけ嫌い。
今日はどのぐらい待つのかなーっと……ん?
私は視線の端で気になるものを見つけた。
それは、小さな小人。身長は林檎のような身の丈で、小さな体ではねもはやしていないのに飛んでいる。プレイヤーの周りとか、人の周りを飛んでいた。プレイヤーが髪をかくと小人は躱し、嫌な顔をしていた。人の肌に触れるのが嫌なのかもしれないね。
ひゅるりひゅるりと楽しそうに飛んでいる小人。すると、私と目が合った。
小人たちは目で何か会話をして、こちらに近づいてくる。
「え、なになに?」
小人たちは私の体に触れ、どこかへ連れて行こうとしているのか引っ張っている――
どこかに連れて行きたいのか。だとしても、どこに?
小人たちは楽しそうに私を引っ張っている。
引っ張っている方向に私は足を向けた。非常に微かだが、なぜだろう?この子たちがついてこいっと言っているように感じる。
その顔は楽しそうに。長年付き合っていた友人のように嫌悪感もなにもなかった。さっき見せたような肌に触れそうになると嫌悪感を向けていたのに対し、私に触れることに対してはなにも抱いていない――そんな感じ。
この子たちって一体……。
小人たちに案内されて連れてこさせられたのは真っ暗な洞窟。
町の郊外にある古びた水道……という場所だ。モンスターは出ないけど、ゴミがたくさん投棄されていて人が来るような場所ではない、といっていた。
嗅覚にとてつもなく不快な刺激を与えてくるもんだね……。究極のリアルフィクションだからか嗅覚までも感じ取れちゃっている。
ここは……臭い。
ゴミの腐敗臭がひどい。
ここに入れ……というのか。
正直気が進まない。自分からゴミの山に入りたくはないよね。だけど入ることを望んでいるような顔をしている。入るのかあ……。
とりあえず出口にある小さいゴミを手でつかんで放り投げた。
うげー、ばっちい。
入るためにごみを掴んでは投げて掴んでは投げての繰り返し。普通の女子ならいやがって最後までやったりしないでしょ。
うう、手を洗いたい。
でも、入り口のごみは退かした!
さて、中に入るんだけど……狭いな。私一人くらいしか入れない。
「この先に何があるんだろうな……」
未知との遭遇に心の準備をしつつ、前に進む。
数分歩いたところでやっと出口らしきものが見えてきた。だけど、その光景に対して私は少し謎に思うことがある。
ここはどこだろう。たぶん町の下……だ。
マンホールだとかは設置されていない。なのに……あの先はなんで光っているんだろう。
と、とりあえず行ってみよう!!
すぐにでもいくためにひたすらあがく。もがいて、やっと光が差し込む吹道内……かと思ったのだが。私の目の前には、でかい大木がそびえたっていた。
……なに、これ。
ゴミの不法投棄はいけませんよね!まったく! A2Oの警察は何してるんだか!
……とはいったものの警察、いないんですけどね! 王国の兵士しかいないんですけどね!
王国の兵士はプレイヤー同士の喧嘩にだけ登場します。街中ではPKが禁止されているからですね。むしろ出てこなかったらやばいですよ。町の中で平然と殺人が行われるんですよ?
ん? 町の中? 殺人? うっ、頭が
説明:精霊王だけに関わらずどの種族にも限定クエストというものが存在し、必ずどこかで強制的に受けさせられます。
発動条件はまちまちですが。チート種族(作品内ではこれから限定種族呼びになる)は同じタイミングで受けさせられます。理由は、まあ、ある限定種族をきつくさせるためですね。
あと、チリンさん好きになってあげてください。悪気はないんです。バカなだけなんです……。
いや、まあ今回の話にチリン出てないけど…。作者好きですよ?チリン。バカな子とアホの子好きなんで!