正義戦士ゴレオムの敵キャラ
ゲームをして、その翌日。
由宇崎さんの弟さんがお見舞いに来ていた。
「でねでね! ゴレオムすごいんだよ! 敵のロボットをあっという間に蹴散らすんだから!」
と、弟さんはロボットアニメ、正義戦士ゴレオムの話をしている。知らないのか由宇崎さんはきょとんとしている。適当に相槌を打っているのが気に食わないのか少し顔を膨らせていた。
ゴレオムか。私も見てる。最初は真野ちゃんが声を当ててるからって理由で見始めたけどなんか、予想以上に面白かったんだ。あれで変形ものとかロボットものも好きになったといっても過言じゃない。
「姉ちゃんなんか知らない」
「ええ!?」
由宇崎さんは涙目だ。
ゴレオムか。私は……。
「私はゴレオムならAZ-406型が好きかなぁ」
「お姉さん知ってるの!?」
「まぁ、見てるから」
「まじで! じゃあさじゃあさ! 敵の幹部の名前わかる!?」
「ユーグレ・アキンドレイ」
「俺そいつ好きなんだー!」
へぇ、いい趣味してる。
ユーグレ・アキンドレイ。彼は自分の正義を第一にしており、絶対的な正義を貫いている。良くも悪くも真面目で、自分にも他人にも厳しい。
ただ、その正義が行き過ぎている。行き過ぎた正義は悪ともなりうる。
「私は人間臭いアデル・マガラが好きかなぁ」
「ええ、あんなやつのどこがいいの!?」
「大人になったらわかるよ」
アデルはなるべくしてなった悪人だ。
彼は落ちこぼれではなく、天才だった。努力を欠かさず、自分の夢に向かってひたむきに突き進む。けれども、誰もかれを認めようとはしなかった。ゴレオムの操縦をする才能はずば抜けていたのに、でも、誰も認めなかった。完全より不完全のほうが伸びしろがある。そういわれ、彼はゴレオムに乗れず、ただただ見習いとして生きていた。
自分だって陰で努力しているのに、天才だなんて言って結局乗せてもらえない。その絶望が彼を包んだ。
『僕だって努力したんだよ! 落ちこぼれだった僕は一生懸命努力してゴレオムに乗れるようになったんだ!』
と主人公はアデルの努力も知らず、そういってしまう。その言葉にキレたアデル。
『俺が努力してねえってのか? 俺が最初から何でもできる天才だって、そう思ってるのか?」
『うん。だって、才能は僕よりもあるしなんでもできるから……』
『……はっ。そうか。そうだな。お前よりはある。ただ……俺は今思い知ったよ。努力は必ず報われるとは限らねえって。ああ、ムカつくぜ』
そういってアデルは周りの物を蹴り飛ばすなど物に八つ当たりをした。
『努力しても報われない世界。そんな世界は俺がつぶしてやる。努力したら認められるような世界を俺が作ってやる。こんな偽善じみた組織なんかくそくらえだ』
そういって出ていった。
やだ、かっこいい。
努力してるのに報わず、誰にも努力しているとわかってもらえない。彼の辛さを推し量ると辛いものがあった。
「私はアデル好きなんだ」
「……僕はやっぱりユーグレがいいな」
「まぁ、わからなくもないよ」
ゴレオムは主人公たちより敵のほうが魅力がある。むしろ、主人公たちがちょっとクズなんだよね。私から言わせてみれば、たしかにユーグレも悪いかもしれないけどあんたらも十分正義という名の権力を振りかざしてるぞって。
なにが『行き過ぎた正義は悪となんも変わらない!』だよ。ブーメラン投げてるじゃないよ。
まずお前らはアデルのことを理解する努力をしてほしい。悪人だから悪とか決めつけるのではなく。
「ゴレオムのキャラはみんな違ってみんないいんだよ」
「そうだね! そう思ったら僕もなんかアデル好きになってきた!」
「そうそう」
私はその人物の背景を見て楽しむから。こういう系が結構好き。悪人はなるべくしてなったという系が一番好きかなぁ。




