第二回イベント 攻略最前線 ③
キーボスモンスターが倒されたというアナウンスがサーバー内に響く。
それが意味することとは……。
『緊急警報! 緊急警報! 村の南にオオシケ確認! 村の南にオオシケ確認! 村の住民の皆さんは直ちに隣村に避難を! 繰り返します――』
村の貢献度稼ぎイベントの、第二段階への進展であった。
そのアナウンスが流れるや否やに村人は大慌てで逃げる準備を始めた。それはもう、プレイヤーなんて構っていられるかというように。
プレイヤーの一人が恐る恐る聞いてみたのだった。オオシケとは――と。
「オオシケは怪物! 狂暴で村の一つを壊す化け物! 逃げなくてはあんたらの命もないぞ!」
といっておじいさんは逃げていく。
《イベントクエスト:オオシケが止むころには を開始します。達成条件はオオシケの討伐、または逃亡》
めだかはそのアナウンスを聞いて地上へと戻っていく。
すると、村人の姿は見えなかった。ただ、いるのはプレイヤーの姿。戦えない生産職ばかりが取り残されている。
すると、村の広場に死に戻ってきたプレイヤーがいた。
「マジかよ……あれを倒すのか」
「あれってなんだ?」
「……めだかさん? さっきのアナウンス聞いただろ! オオシケってやつ! それに戦闘職みんなかき集めて倒しに行ったんだが、ありゃモンスターというより怪物だぜ……」
どんなのだろう。
めだかは好奇心が湧いてきたのだった。めだかは逆境になればなるほど萌えるタイプでもあるからして。ただ、勝てないにしても見てみたいという欲求が湧く。それに従った。
「んじゃ、いっちょ拝んでくるとしますかね」
あわよくば、倒したい。
その一心で。
だが、その想いは打ち破られた。
「……はぁ?」
目の前には巨大なドラゴンがいたのだった。
四つ首の……日本神話でいうところの八岐大蛇の四つしか首がないバージョンみたいな、竜がいた。
「おいおい、ドラ〇エの竜王のほうがまだ可愛げがあるような攻撃だぞ……」
一つの首は炎を吐き――
一つの首は牙でかみ砕き――
一つの首は石化する光線を放ち――
一つの首は仲間を回復し――
何より恐ろしいのは完全に個別でやってくることだ。炎が吐かれたかと思いきや石化する光線を浴びてしまって――
時間経過で治ったはいいが牙で噛まれて竜の胃の中に飲み込まれていった。
「ありゃむずいわけだ……」
(戦い方としては回復する首を潰し、終わったら他の首――という順で行くのだろう。だが、自分自身も回復できるというのが厄介だ。ラスボスは回復禁止となんどいえばわかんだよ)
内心で悪態をつきながらも攻略を考えてみる。