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Another Arcadia Online  作者: 鳩胸 ぽっぽ
第九層エリア 【さらなる世界へと】
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美咲ちゃんの回想 ④

 学校に行ってクラスに入ると噂されていた。

 真田さんの筆箱隠して、嘘ついて逃げようとした最低なやつだって。はは、笑うよ。みんな嘘を真実だって思い込むんだ。

 微妙に本当のことだからタチが悪い。


「学校辞めようかな」


 珠洲には悪い。けれど、もうこの学校……いや、もう周りにはうんざりだ。

 私は悪くないのに、犯人に仕立て上げられてさ、周りの目も冷たい。じゃあ私は何を信じればいいんだろう。


「ねぇ、広瀬さん! ほら、これあげる!」

「……よくこの状況で話しかけてくるね。私は貴方の筆箱隠したんだけど」

「え? 欲しくて隠したんでしょ? だったら最初から言ってくれればあげたのに」


 真田さんは相も変わらず話しかけてくる。自分でいうのもなんだけど頭おかしい。


「別にいらないよ。というか、いいの? 私と話して。私は貴方の筆箱隠したんだけど」

「え? あー、それね。うん。いいんだよ。嘘の情報信じる人とはあまり関わりたくないし」

「……嘘って」

「気づいてないと思ってた? それぐらい気づくよ。広瀬さんはそんなことしないと思う」


 意外と見る目はあるんだろうか。

 嘘情報に踊らされない……。なかなか骨があるというか、もしかしていい人なのかもしれない。


「なんていうか、広瀬さんはそんな陰湿なことはしないっていう印象があるからさ」

「……ふぅん」

「それに、広瀬さんは友達だし! もし本当にやったとしても友達としての悪ふざけってことだし! そこまで怒ることじゃないよ」

「……」


 私にはこの子は眩しいな。

 どんだけ私と友達になりたいんだろう。友達になって利用でもしたいのか? 都合のいい駒になれっていうことだろうか。

 私をほめるにはいい人だっていうのが大半だ。だが知っている。それは丁度いい人だとか都合のいい人だってことを。都合のいい駒になれっていうことか?


「悪いけど、私は都合のいい駒になりたくない。もう友達だとかいうのはやめて」

「……なんで泣いて」

「いいから。私はもう友達だよとかいう言葉は聞きたくない」


 友達だよという言葉にはいい思い出がない。

 友達だよと言ってくる人は信じることができない。そういう甘い言葉で私を釣るだけだから。もうその手は食わない。

 

「……もう学校辞めようかな」

「え゛っ」

「ここにいる人たちつまんないし、好都合に友達はいないしやめるにはもってこいかな」

「だ、だめ!」


 と、私に抱きついて真田さんが止めてくる。

 都合のいい駒がいなくなったら困るの?


「私は広瀬さんを悲しませたりしないから! 私だってこの学校に友達いないし悲しいんだよ! だから友達第一号になってよ! お願い!」

「は、離して!」


 クラスの視線が私のほうを向いてくる。

 は、恥ずかしいでしょうが!


「友達になるまでやだよ! 広瀬さん泣いてるのに! 本当は欲しいんでしょ!? なら私がなるってぇ! いや、なってください!」

「わ、わかったから! 離して!」

「友達になってくれる?」

「わかったよ……」

「学校辞めない?」

「……」


 と、ぎゅーっと抱きつかれる力が強くなる。ちょ、締め付けられる……!


「わかったから! やめないから!」

「……よかった」


 抱きつくのをやめて真田さんは手を差し出してくる。


「改めて、よろしくね」

「……はぁ」


 思わず友達?になったけど、どう絶交しよう。
















強引に友達にならないと美咲ちゃんは友達になりませんでした。

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