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Another Arcadia Online  作者: 鳩胸 ぽっぽ
第九層エリア 【さらなる世界へと】
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美咲ちゃんの回想 ②

 入学式が終わって数日が過ぎた。

 グループも大方形成されており、珠洲も峰岸さんとよく話しているらしい。私は一人でいた。誰もかれも私に話しかけてくることはない。

 話しかけてこないで欲しいから。私と話して、気に入らないと思われたらいやだから。


 相手の機嫌を損ねないように顔色をうかがうのは嫌だ。なら最初から一人でいい。


「つまんない」


 みんな、つまんない人たちだ。

 きっと、中学時代も普通に過ごせていたんだろうな。いじめられもせず、ただただ義務教育を終えたんだろうな。羨ましいな。

 私なんかいじめられていたっていうのに。ムカつく。


「ムカつくなぁ……」

「何がムカつくの?」


 と、急に私に話しかけてくる女の子。

 スカートを少し上げているのか見えそうである。


「……なに?」

「あ、ごめん。なんか寂しそうにしてたから」

「寂しくなんかなかったんだけど……」


 寂しいわけがない。

 いや、珠洲が最近かまってくれないから寂しいけどさ。


「……で、誰」

「ええ!? 私の名前知らないの!?」

「興味ないから」

「ひどいなー。私は真田 地衣。あなたのお友達ですよ?」

「……いつ友達になったの」

「今日今さっき」

「……強引だなぁ」


 強引すぎる。

 勝手に友達認定しないで欲しい。友達は裏切るかもしれないのに。そう簡単に人を信じることができない。私の欠点はわかっている。けど、すぐに信じろというのが無理な話だ。

 真田さんも、私がつまらない人間だって思って逃げていくか、いじめるに決まっている。


「広瀬さんは友達作らないの?」

「……逆に聞くけど真田さんは彼氏作らないの?」

「……作る気ないし」

「私もそれと同じ」


 だから、放っておいて欲しい。私を苛める可能性がある人間は近づかないで欲しい。

 みんな私を苛めるに決まっている。だからこそ嫌なんだ。嫌だったんだ。学校に来るの。珠洲のお節介さが出たのかもしれない。

 たしかに中卒はあまりいい印象がない。けれど、どうでもよかった。私は成人前に死のうと思っていたから。


「そんなこと言わないで。友達いたら何かとお得だよ?」

「……友達だからって物奪ったりとか暴力したりするくせに」

「そんなことしないよ! 友達にだってちゃんと礼儀をもって」

「礼儀? 見知らぬ人にそんなことができるの?」

「できるよ! むしろ見知らぬ人だからできるんだよ!」

「じゃあ見知らぬ人ではなくなったらできなくなるの?」

「そういうわけじゃないよ! なんでそう穿った見方しかできないの!?」


 私の中学がそうだったから。

 転校生がきた。友達になろうっていって友達になったんだ。けれど、その子が陰で私の悪口を言っているのを聞いた。

 「あいつと打ち解けてきたわ。もうちょいでいろいろ取れそう」とか。それを聞いて、私は嫌になった。信じることをしたくなくなった。


「ひねくれてるから。嫌なら関わんないで」

「嫌じゃないから関わってもいいの?」

「……」


 なんだこの人。

 面倒な人だ。










ネタが不足しているから回想で補っているわけじゃないですよ! 決して!

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