由宇崎さん
病室。私はトランプを持っていた。
「はい、上がり」
私は6のカード二枚を捨てる。
同じ病室の方とトランプをしていた。四人部屋なので私一人というわけじゃない。年下っぽい子と20代の方、そして私と同年代の子一人。
私は骨折で他の三人は病気でだということだった。
「広瀬さん運良すぎ! ジョーカー私のところにきたじゃん!」
「昔から運はよかったんですよ~」
運はものすごくいい。
今現在も幸運なほうだと思う。
「私も上がりです」
と、20歳の方があがった。
残りは中学生と高校生の子。二人は睨みあう。高校生の子……由宇崎さんが中学生の子……島田さんのカードに手をかける。
ちらっと見てみるとジョーカーだった。
「これだ」
「残念でした」
「うがあ!」
ジョーカーを引いた由宇崎さん。
すぐにシャッフルし、引かせる。今、島田さんは一枚、由宇崎さんは二枚。どちらかが死だ。
島田さんはカードに手をかける。そして、引き抜いた。
「上がりッ!」
「負けた……」
「はい、ジュースですね。お願いします」
「ちっくしょう! 覚えてろよー!」
罰ゲームとして負けた人がジュースを奢るというもの。
由宇崎さんは走って向かっていった。
「これ、私負けてたら私が買いに行く羽目になってましたね」
「いや、骨折してるんだから歩けないでしょう。金だけもらって買いにいってあげましたよ」
「そうだったんですか?」
「きちんとそこらへんは弁えますから。由宇崎さんがくるまでなにかしてます? 神経衰弱でもしますか?」
「しましょうしましょう」
トランプを終えて、それぞれのベッドに戻る。
由宇崎さんは私の隣の椅子に座ったままだった。え、ベッドに戻んないのかよ。
「……暇」
いや、わかるけども。
暇だからって遊べるわけじゃないんだけどな。
「茉莉は本読んでて相手してくれないし! ねえ、私の相手になってよ」
「ええ……」
「ジュース奢ってあげたじゃん!」
「それトランプに負けたからでしょ……」
「おねがーい!」
と、深々と頭を下げた。
必死すぎるだろ! しょうがないな。相手してあげよう。
「わかったよ。で、何するの?」
「ふっふーん。これだー!」
と、出してきたのはヘッドギア。
ゲームでもするんだろうか。
「一緒にA2Oやろう! っていうかやってる!? やってるよね?!」
「いや、やってるけど……」
「じゃあ決まり! 第九層の王城の前で集合ね!」
といって自分のベッドに戻っていった。
仕方ない。私もヘッドギアをかぶり、ゲームをすることにした。超久しぶりにやる気がする。いや、アルテナ様が闇落ちしたときにやってるけど。




