人助け
ある日目が覚めると巨乳になっていた……。
「んなわけあるかボケーッ!」
私は起き上がる。
現在の時刻は昼の2時。珠洲が帰って暇で少し寝てしまったらしい。いや、夢にツッコミを入れてどうすんだよ。あれは夢。正夢。きっといつかはでっかいおっぱいが私の元にやってくるって。
……いや、現実を直視しないといけない。私は認めるべきなのだ。貧乳だって……。
泣きたい。
「デカい声張り上げてどうしたんですか?」
「え、あ、いや、えっと」
真壁さんではない看護師さんがやってきた。
夢で巨乳になってる私の夢を見たとは言いづらい。ぐっ……現実はなんてクソゲーなんだ。キャラメイク胸だけ失敗してるじゃないか。
なんでもないですと誤魔化し、私は立ち上がる。
なにか飲み物でも買ってこよう。昼寝したときに見た夢が最悪すぎた。くっ……。なぜ私は胸が小さいままなんだ……。
これも、多分お母さんのせいだ。
昼寝前にお母さんが来て帰ったんだけれど、帰る際に誰かと話していて「大人に育ったけど胸だけは育たないのよね」と爆弾を投下した。
なぜだ。私はお母さんの遺伝をついでいるはずなんだ。と、父親に似ているって言われたことを思い出して胸もそっちに似たって言う結論。
ふざけんな。
エレベーターで下に降り、自販機の前までいくと、小さい子が一番上のボタンを押そうと背伸びしているのがみえる。
その手の先にはスポーツドリンクがあった。
私はそれを押してあげると男の子はこっちを向く。
「あ、もしかして違った?」
「い、いえ。ありがとうございます」
男の子はお礼を言って上に上がっていった。
私もコーヒーを買う。ブラックも飲めるんだけど基本微糖とかが多いかなー。コーヒー昔は飲めなかったけど高校生になって美味しさに気づいた。
「早く退院したいなー」
そういいながら運動がてらに今度は階段を使ってあがっていくことにした。階段を歩いて上がっていると今度はおばあさんが歩いている。
手すりにつかまってゆっくりと歩いていた。
「おばあさん大丈夫ですか? おぶりましょうか?」
「いいのかい?」
「いいんですよ。よければ部屋まで連れてきますよ」
「ありがとう。じゃあ203号室までお願いできる?」
「任せてください」
203というと三階か。
階段の踊り場でおばあさんをおんぶする。さすがに人一人抱える分重いけれど、持てない重さではない。
ゆっくりと階段を上がっていく。
「エレベーター使わなかったんですか?」
「エレベーターに乗ると酔っちゃうのよぉ。だからあまり乗りたくないの」
「なるほど」
酔っちゃうなら仕方ないな。
その時だった。
「おわっ」
「大丈夫かい……?」
足を踏み外し、転びかけた。バランスをとる。……左足が超痛いんだけれど、まずおばあさんを運んであげよう。
「ごめんなさい。びっくりさせちゃいましたね」
「私重いかしら」
「いえ、ドジこいただけですよ。もうすぐつきますから大丈夫です」
三階につき、遊んでいる子供の横を通り203号室に案内した。
おばあさんは入院している息子の様子を見に来たらしい。息子さんはお母さん!? と驚いていた。すごく感謝されたしお礼をもらった。
お礼といっても五千円だけど。でも、いいことしたあとだと嬉しい気分だ。
私は自分の病室がある二階へ戻ろうと階段の前に行く。すると、子どもが階段の手すりに立ち上がっているのが見えた。
あぶない! そう思って止めようと走るとバランスを崩した子供は後ろによろめいた。
私はいそいでかけよる。が、間に合いそうもない。思い切ってジャンプして、その子を抱きかかえる。
私は真っ逆さまに落ちていった。




