入院 ②
どうやら三日くらい様子見として入院するらしい。
結構ひどい熱中症だったらしく発見するのが少し遅れていたら死んでいたかもしれないとのことだった。マジでやばい状況だったらしい。それを聞いてすこし血の気が引いた。
「死にかけとか私これで何回目だよ」
二回は自分でやったこととはいえさ。
暇なので病院内を探検しているとロビーに知った顔があった。蜜柑ちゃんと陽菜ちゃんだった。
「美咲さん! 寝ていなきゃ……!」
心配そうに陽菜ちゃんは近寄ってくる。
蜜柑ちゃんも顔がものすごく泣きそうだった。
「その……私が家に帰るのもっと遅かったら発見できたかもしれなかったのに……すいませんでした」
「いやいや。仕方ないよ」
壊れたエアコンが悪いというか、完全に私が悪かった。
そもそもエアコンが壊れたわけじゃなかった。さっき電話でお母さんから聞いたんだけどエアコンのリモコンの電池が切れていたらしい。それで私は壊れてると勘違いしていた。そして、扇風機は壊れていたから捨てたということ。完全に私が悪い。
「これ、お見舞いです。あまり高くないですけど……」
「わ、私からもこれどうぞ。ケーキです」
蜜柑ちゃんは林檎を、陽菜ちゃんからはケーキをもらった。
「で、では私いきますね」
「私もこれから用があるので……」
「うん。立ち寄ってくれてありがとね」
二人は帰っていった。
それと入れ違いにもう一人姿が見える。その姿は私がよく見知った人たちだった。いや、人たちっていっても二人だけれど、よく知る二人。
「真野ちゃんに真綾!」
「お見舞いにきたよ~」
「大丈夫なの?」
つくやいなや真綾は私が持ってる荷物を預かった。
どうやらもってくれるらしい。この点滴つけて歩いてるからこれもってないといけない。片方はふさがってるので持ちづらかったんだけど持ってくれる優しさが有難い。
「熱中症って聞いたけど」
「はい。結構死にそうな間際だったらしいです」
「……美咲ちゃん。笑い事じゃないよ」
笑っていうと真野ちゃんが真剣な顔で私に言ってきた。
たしかにそうです。死にかけて笑えることはないです。
「その、すいませんでした。心配かけましたよね」
「うん。聞いた時は気が気じゃなかったよ。真綾の仕事を手伝ってたからさ」
「あれ、活動休止中では?」
「個人的な手伝いだよ。活動のうちに入らないね」
なるほど。
でも、真野ちゃんに心配かけたのはちょっと悪いことをした気がする。
「きちんと水分はとったほうがいい。私は普通に仕事してたんだから」
「うっ」
たしかに真綾はメイクしてるし服もおしゃれだ。着替える暇もなく向かってきてくれたんだろう。まじでありがとう真綾。
「珠洲が美咲が死にそうって悲しい声でいってたよ。恵まれてるね。これで死んだら珠洲も、真野ちゃんも、結構精神的に追い込まれてたと思うよ」
「うっ」
「うん。死んでなくてよかったよ。美咲ちゃんは私の大事な友達なんだからさ。死なれたら……困るよ」
と、悲し気にいってくる。
罪悪感がすごい。
「まぁ、説教はこれくらいで終わりにしよう。これ、病室まで運べばいいの?」
「あ、うん。病室に」
「わかった。何号室?」
「一緒に行くよ」
「わかった」
私たちは私が入院してる部屋に向かうのだった。
美咲が死んだら哀しむ人はいます。人にも恵まれてますね。




