闇は光を穿つ矛となり、光は闇を断つ盾となる ②
私はアルテナ様に近寄った。
「アルテナ様。取引をしよう」
「取引?」
「街を攻撃したいのなら私を倒してからにして」
正直、勝てるかどうかはわからない。ただ、引き伸ばすことはできる。
「……なるほど。人々を絶望に落とすには、まず縋る神をぶっ壊したほうが高まりますね」
「そういうこと。でも、私はしぶといから」
「いいでしょう。まずは主神であるミキをぶっ壊します」
アルテナ様はそういうといきなり魔法を放ってくる。
それを相殺し、私は見えない壁に向かって思いきり魔法を放つ。バリンと割れる音が聞こえた。私は分身を創り出す。
そして、魔法を三人ではなった。
「やはりあなたは強い。私に立ち向かってくる勇気、刃向かう気概。私の仲間に欲しい人材ですね」
「……私は仲間だと思ってたけどな」
「ぬるい以前の私も思ってましたね」
「なら嬉しいよ」
このアルテナ様は操られている……んだよな。
操られているというより、アルテナ様の暗黒面を前面に思い切り出したっていう感じがする。別人格っていう感じがすごいな。
ただ、操られているっていうのは変わりないと思うが。
私がアルテナ様と対峙していると、アルテナ様の背後から何かが飛んでくる様子が見える。
ドラゴン……?
「おや、ドラゴンが私の神気にふれ近寄ってきましたか」
「えっ……」
「しかも、人間でいう災害級。私が手を出さずとも終わりそうですね」
「……しかも二体」
まずいな。
これは予想外だ。
すると、そのドラゴンを上空から蹴り落としたドラゴンがいる。
そして、その直後爆発が起きた。デカい爆発がドラゴンを包み込む。
「ミキ様! ドラゴンは私とカイザーにお任せを!」
「アクア! カイザー!」
ポセイドラゴンのアクア、カイザー・ボマー。どちらも人間でいう災害クラス。こいつらがいたか。
私はアクアたちに感謝をしなくちゃならない。私はアルテナ様のほうを向く。少し悔しそうにしていた。
残念だったね。こっちにもいたんだよ。
「アクア! カイザー! 頼んだよ!」
「任せてください」
「承知です」
私はアルテナ様と向き合う。
アルテナ様は頭を抱えていた。
「黙れ黙れ黙れ黙れ!」
と、突然わめいていた。
何が起きているのかわからない。ただ、一つ言えるのは苦しんでいるということだ。頭を抱えて暴れている。
「邪魔をするな! お前はお呼びじゃないんだよ!」
「……もしかして、元の人格?」
アルテナ様自体の人格が前に出ようとして苦しんでいるのではないだろうか。すると、暴れるのをやめた。そして、私のほうを向いてくる。
「ミキ様」
「あ、アルテナ様?」
「私は何者かに操られています。今出てくるのがやっとでもう少しで変わってしまうかもしれません。なので、私の体を頼みましたよ。私はちょっと……」
と、地面に一人の人間が落ちた。
同時にアルテナ様が目を開く。
「邪魔なやつがなぜかいなくなったぜ……! さぁ、楽しませてくれよ!」
「く、口調が変わってる」
「アルテナの野郎が邪魔だったが……! とうとう乗っ取った! 神の力を! うひゃひゃひゃ! ざまあみやがれ人間ども! 私の中に残るアルテナ様の力で……! って、力が……!」
と、いうと地面に落ちた人間が体を上げる。
「成功しました。私はもう一つの体を創り出し力などすべて回収いたしました。その体は旧アルテナ。私を支配した気になれたと? 勘違いしてくれて助かりました。その体にもう力はありません。私を出させたことが運の尽きでしたね」
「なっ……!」
「そして、私は貴方の正体もわかっていますよ。姉さん」
姉さん!?
感想欄で掲示板回のときの女装女子っておかしくない? とかそんなこといわれて思ったんですが
女装女子ってそれミキちゃんのこと……あ、いや、なんでもないです。なんでもないですから。




