闇は光を穿つ矛となり、光は闇を断つ盾となる ①
私がログインすると、突如アナウンスが響き渡った。
《緊急クエスト:闇は光を穿つ矛となり、光は闇を断つ盾となる を開始します》
とでたのだった。
え、なにこの緊急クエスト。と思っていると、空から突然魔法が放たれる。思わず避けて空を見上げるとそこにはアルテナ様がいたのだった。
だけど、様子がおかしい。
黒く染まっている肌。瘴気が体からあふれている。今回の緊急クエストってさ……。もしかして、アルテナ様と戦うのだろうか。
と、とりあえず鑑定!
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暗黒創造神アルテナ
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……ですよね。
アルテナ様が人間の街を攻撃していた。闇落ちしていたって……どういうことなんだよ。私はとりあえずアルテナ様に近寄ろうとすると、見えない壁があったのだった。
「やはり来ましたね、ミキ様」
「……なにしてんですか」
「私ですか? 私は……破戒……といったところでしょうか」
「破戒ねぇ……」
どういうことなんだろうか。
なぜ、人を思うアルテナ様が闇落ちを? と考えている暇もなく、アルテナ様が私めがけて魔法をうってきた。本気で倒しに来ている。
目が虚ろ。本人の意思がないようにも見受けられる。以前、ブレーメンと入れ替わったとき、遊びでとかいっていた。その時にちょっとした違和感があった。
もしかして、操られている……? でも創造神を操れるなんて存在、いるのだろうか。
「ミキ! 何事でぃ!?」
「ゴエモンさん! 避難してください! 死にますよ!」
「……」
アルテナ様はゴエモンのほうを向く。そして、人ひとり包み込めるくらいの光の玉をゴエモンにめがけてうっていた。ゆっくりと、ゴエモンを追尾していく。
……あれは相当やばい奴だ。
私は急いで石をぶん投げそれに当てると、でかい爆発が起きたのだった。
「うがあああっ……!」
「ゴエモン!」
ゴエモンが吹き飛ばされる。
ゴエモンは壁にぶつかり、そのまま動かなくなった。蘇生ができない、まだ体力はある。死んではいないようだった。
「一体私がログアウトしているときに何があったんだよ」
「せ、説明しようか……?」
と、そこにいたのはチリンだった。
なんでゲームやってるんだよ。とかそういうツッコミはあとにする。
「アルテナ様が何者かに心を侵食されているらしい。ベノムがアルテナ様の心を開放するものを作ろうとしているけれど素材が足りないらしい。それを作る素材集めが今回の緊急クエストだよ」
「えっ」
「アルテナ様も馬鹿じゃない。攻撃するに決まってるから、五つの班にわかれた。素材採取班を1、2、3、4と街の防衛。正直、ここ受ける人は少ないよ。王全員やるわけにもいかなくてね」
「……ログインして正解だったか」
「うん。助かったよ……」
私はアルテナ様の攻撃を受け止めていろってことだろう。
なかなかきつい。
「……ミキ様、駆け付けられましたか」
「う、うん」
ベノムが隣でアルテナ様を眺めていた。
「思えば、ここ数日様子が変であった」
「…………」
「やってはいけないことを遊びだと……。ガブリエル達にちょっかいをかけるのを遊びだと。言っていた。普段はそういうことをしないお方。その時点で疑うべきだった」
ベノムが俯いた。
「ミキ様……。アルテナお姉さまどうなるの……?」
「……いたんだオルテナ様」
「……お願い、ミキ様。アルテナ様を止めて」
「……わかったよ」
というと、神がまた降りてくる。
見たことのある神、無い神がいる。鍛冶神も中にはいたのだった。カーリもその中に混じっている。みんな、アルテナ様を見上げていた。
「ミキ、空中は私たちも手を出せない。ミキ一人になるけど、いいかな」
「任せて」
「うん。ごめんね」
と、チリンがそう微笑む。
ねえ、ラスボス? ラスボスなの?
だがしかし、任せてと豪語したはいいが、どうするべきか……。
※ラスボスではないです。
ミキがログインするタイミングを見計らったかのような感じだ。ちなみに、このクエスト前にも一個クエストがあり、ミキは二回目のクエストに参戦する形ですね。




