イタリアンレストランに行こう ②
蜜柑ちゃんのフォークを持つ手が震えている。
「真野にこんなお友達いるとは知らなかったよ。お前いい友達持ってるんだな」
「だから美咲ちゃんは可愛いって言ってるでしょ?」
「女子の言う可愛いは可愛いと褒めてる自分が可愛いアピールとしか思ってない」
「せめて実の妹は信頼してほしいなぁ」
真野ちゃん兄妹はパスタをくるくるしながら会話していた。
仲良さそうだな。真野ちゃんとこのお兄さんは喧嘩ってそれほどしなさそうだ。喧嘩してもすぐ仲直りすると思うタイプだなぁ。
「いずれお兄ちゃんも結婚するんだし女性不信なの克服したら? 美咲ちゃんたちなら信頼できるから」
「……だがなぁ」
「私以外怖くてどうするのさ。仕事だって女の人とやったりすること多いだろうし今直さないと」
と、真野ちゃんがお兄さんを叱っている。
女性不信とはなんだろうか。
「ほら、とりあえず触れてみて」
「わ、わかったよ。ちょ、ちょっと触らせてくれ。少しでいいんだ」
「え、私ですか?」
なんで触る?
と、条さんは私の腕を触る。すると、条さんの腕からぽつぽつと赤い斑点が浮かび始める。え、なにこれ。こういうの実際にあるの!?
蕁麻疹が起きてるけれど……。
「無理。やっぱり無理だ」
「ど、どういうことですか」
「やっぱ気になるよね」
真野ちゃんは苦笑いを浮かべている。
「お兄ちゃんはね、女性に触れることできないの」
女性に触れると蕁麻疹が体を覆ってしまうらしい。
過去に女性トラブルがあってその時のトラウマが蕁麻疹となって体に現れるんだという。彼女の取り合いでもしたのだろうか。だとしてもなるわけがないか。
彼女自身に裏切られた……とか?
「慣れさせてあげたくて触れさせてもらったんだ。ダメだったみたいだけど」
「いいですよ。それなら協力します」
さすがにわいせつ目的ならば拒否したいが、治したいのなら協力させてもらう。
誰だってトラウマはあるし、それが体に現れただけの事だろう。だとしたら、そのトラウマを克服出来たらいいのではないだろうか。
「お兄ちゃんも年頃だし恋とかしてほしいんだけど女性みんな怖がってるからさ」
「恋ができないってことですか」
「そう。昔好きだった女の子に陰口をぼろくそ言われた挙句いじめを受けたらしいからさ。そこから女性が怖くて仕方ないらしいんだよ。一時期私でもダメだったんだ」
と、真野ちゃんが寂しそうに笑った。
兄を応援しているけれど、その目は兄は治らないと確信したかのような諦観した目をしていた。
今にでも泣き出しそうな、そんな目をしている。お兄さん想いのいい子。やはり真野ちゃんは素晴らしい人だと思う。それと同時に、私はお兄さんを治してあげたい、そう思っていた。
真野ちゃんが喜ぶのなら、お兄さんを治してあげよう。




