イタリアンレストランに行こう ①
カイザーとかのことも気になるけれどとりあえずログアウトした。
今の時間は夜七時。やりすぎたなーなんて思いつつご飯を取ることにした。そういえば蜜柑ちゃんずっとほったらかしにしてたけど……。なにしてるんだろ。
一階に降りるとソファですーすーと寝息を立てて眠っていた。
「もうこんな時間だし作るのもあれだな」
私は蜜柑ちゃんを起こし、食べに行くことにした。
「んー……お父さんどこいくのぉ……」
「寝ぼけてるな……。今日はなんにも用意してないし食べに行こうか」
「んー」
と、蜜柑ちゃんが手を広げて待っている。
え、何?
「おこしてお父さぁん」
「……甘えん坊なんだなあ」
私が蜜柑ちゃんを引っ張ると、蜜柑ちゃんは顔を赤く染めた。
今更目が覚めたのだろうか。
「わ、忘れてください……」
「いや、可愛かったよ」
「うう……」
お父さんには甘えるタイプなんだ。
蜜柑ちゃんは顔を赤く染めたまま上着を羽織っている。私はというと、さっきの光景を脳内に焼き付けていた。あんな蜜柑ちゃん滅多に見られることじゃないだろうしラッキーだ。
私はカバンを肩にかけて蜜柑ちゃんを待つ。
「じゅ、準備できました」
「おーけー。それじゃ、いこうか」
ファミレスではなく、イタリアンレストラン。
パスタが食べたい気分だったので町の中にあるレストランで食べていた。すると、カランカランと音が聞こえる。
「あ、あれ、美咲ちゃん?」
「真野ちゃん?」
真野ちゃんがご来店……と、隣にこわもての男の人が立っていた。
サングラスを頭にかけ、ピアスの穴を開けている。え、だ、だだ、誰……? ま、真野ちゃん? その人は誰ですか……?
私の動揺が分かったのか、真野ちゃんは少し笑っている。
「この人はね、私の彼氏」
「……え゛っ」
「そんなに驚くことかな?」
「おい」
ま、まま、真野ちゃんに彼氏がいた……だって? お、驚いた……。
いや、彼氏できてもいい。ただ、それは今じゃない今じゃないと思っていた。真野ちゃんもきちんと恋する女の子だった。
……幻滅した。
わけはない。
ただ、驚きがすごかった。
「美咲ちゃん、驚いた?」
「……はい。だけれど、私は真野ちゃんを応援します。男の人も頑張ってください!」
「……こいつの嘘を真に受けんな。俺は生出 条。こいつの兄だよ」
……あ、お兄さんでしたの!?
よく見てみると目じりあたりは似ているような。
「あはは、ごめんね。からかってみたんだよ。私に恋人はまだいないから安心していいよ」
と、真野ちゃんは笑う。
あー、びっくりした。マジの恋人じゃなくてお兄さん。お兄さんは結構ガタイもいいけど金髪に染めてピアスも開けて……不良って感じがする。
「……って、蜜柑ちゃんなんかショートしてる!?」
「ゆ、有名人が目の前にぃ……」
蜜柑ちゃんは放心状態になっていた。
ゆすって目を覚ますとまた放心状態になる。なにこの無限連鎖……。




