カイザー・ボマーの対応
ゼウス様にカイザー・ボマーのことを説明すると倒れてしまった。
防衛力としてはこの上ないほどの戦力だと思う。本人も滅茶苦茶やる気だしね。カイザー・ボマーとかいうドラゴンは不満だろうか。
「でも協力的なのはいいことだと思いますがね。私もそうですが人々の繁栄にはカイザー・ボマーの素材などが必要になることもあるかもしれません。ミキ様に仕えている身。ミキ様のために私も、カイザーも精一杯必要な素材を提供いたしますが」
「そ、それは助かるのだが……。だがしかし、君らは歩く危険物みたいなものだ。リスクをどうしても考えてしまうのだよ……」
たしかに。その気になれば滅ぼすことは可能だろうし、カイザー・ボマーがついたことによりこの国の戦力はバカ高くなるだろう。正直過剰戦力のような気もしなくはない。
「特に、私の鱗は錆びにくく、硬い。兵士が使う剣を私の鱗で作ったならば頑丈さはもっと向上しますし、カイザーの汗をこの汗に付着させたら切って爆発させるというのもありますね」
「……それで?」
「さらに、私の鱗で日用品を作れば売れること間違いなしでしょう。熱も比較的通しやすいのでフライパンなどの用途もありますね」
武器にも日用品にも困らないのか。
意外とポセイドラゴンの鱗すごいな。錆びにくいっていうのは生活環境で考えると当たり前なのだろうけれど。
錆びにくいってことはあれだな。金属質なのか。鱗。
「カイザーの毛は熱がこもります。冬などカイザーの毛を使用した服などを着たらあったかいでしょう。さらに、耐久性もあるので並みの鉄の鎧より硬いでしょうし」
うわ、なにそれすごい。
「どうでしょう? カイザーを置いてはもらえませんか?」
「……わかった。許可しよう。ただ、街中を闊歩させてしまうと民が恐怖で外にも出れなくなってしまう。慣れるまで檻の中にいてもらうことになるか、人化できるのならしてもらうか。その二択になってしまうがよろしいだろうか」
「ええ。カイザーは人化が得意ではないので檻を用意してください」
「かしこまった」
そうして、ゼウス王の謁見は終わった。
檻の中に素直に入っていくカイザー。
ろくな檻がなく、兵士の詰め所の地上の牢屋に入ることになった。カイザーはそこでくつろいでいる。
「危険ですので我々のそばで一緒に触れあいましょう」
慣れさせるために触れ合いというものを行っている。
カイザーは笑顔で何も抵抗せず触れさせていた。たまにぺろりと顔をなめてはビビらせている。お茶目……なのかな?
というか、喋れるなら喋ればいいのに。
「すっげえ、俺、触れてる! あったかい!」
「ママ! ぬくーい!」
「そ、そそそ、そうね」
私は檻の中でカイザーの毛を櫛で直している。
私、シルベとフレンド登録したいんだけどな……。なんで私こんなことになってんだろ。




