※フィクションです。
※嘘です。
「最近肩こりがすごくてさー」
私は肩を回す。肩こりがひどい。
理由は簡単だ。この胸の重り。それがいけないんだ。
「……おっぱいいらない」
「……なら寄越せ! 美咲!」
こんな恵まれた胸、いらないな。
貧乳のほうが動きやすそうだしなにかと都合がいい気がする。この胸はよく視線をあつめて鬱陶しいし、服を着ると太って見えるし牛とかバカにされるし……。
もうやだ。最悪だ……。
「でかい胸のどこがいいの? まじで。肩こりひどいし可愛いブラないし視線集めて気持ち悪いしいいことなんもないじゃん!? むしろ貧乳のほうがメリットたくさんあるよ!? おっぱいって女の人が背負いし枷みたいなものじゃん!」
「だけどそれがステータスなんだよ? いや、いいなぁ。私もでかくなると思ってたけどなんなかったし。むしろぺちゃぱい」
私の幼馴染である珠洲はとてつもないほど貧乳だった。
それがコンプレックスであるらしいけれどなぜなのかがわからない。ステータスだなんだいうけれど動きやすさ重視ならむしろ貧乳では?
「持つものは持たざるものの気持ちを理解できないんだよ……」
「な、なんかごめん」
机の上に私の胸がのっかる。
邪魔。まじでちょっと苦しい。こんな胸いらない……! 私はおっぱいがないほうが好きだ。女のステータスとかなんちゃらいうけれど、そんなに胸が大事なのかな? むしろそこだけで判断するくらいなら見る目ないと思うけど。それか、ただのおっぱい好きの変態。
胸だけで女の価値が決まるわけがないんだよ。
「美咲ちゃんもパラレルワールドでは貧乳なのかもしれないよ?」
「突然何? パラレルワールド?」
「うん。今マンガ読んでてさ、パラレルワールドっていうのがあるんだって。昔の出来事の分岐点で未来が広がっているとかそんな感じの」
「ほう」
「美咲ちゃんはとてもでっかいおっぱいあるけど、別の世界だともしかしたらないのかもしれないってこと。すごいよね」
「たしかになあ。でも、本当にあるの? 貧乳の私がいるなら見てみたいもんだけど」
多分私のことだから「胸ないって気楽だな!」とか思ってるんじゃないだろうか。
実際そうだしね。貧乳という喜びをかみしめて毎日を楽しく生きているに違いない。そんな気持ちを渡しにも分け与えてもらいたいものだ。
「でも美咲が貧乳なのって想像つかないんだけど……」
「そうかな?」
「うん。喜んではいそうだけど……なんていうか、コレジャナイ感がスゴイっていうか……」
想像してみる。
うん、なんかコレジャナイな。何かが足りないような、そんな気がする。
……今のままのほうがいいのか?
あ、コレジャナイ方の美咲ちゃん? ちゃんと事実をありのまま書いておいたよ。うん……。うん。ちゃんと事実だから。事実をそのまま書いたから。満足でしょ?
……あ、コレジャナイってなにかって? いや、こっちの話。うん。
……あ、作者美咲から逃げます。このままだと美咲が狂暴化するので!




