カイザー・ボマー
アクアの背中に乗り森を後にする。
「このドラゴンはみたことねえがミキの仲間とはな。驚いたぜ……」
ポセイドラゴンだからね。
やけに魔物に遭遇していたのも近くにアクアがいたからではないだろうか。
「アクアはなんであそこにいたの?」
『昔のなじみのドラゴンに会いにいったのですよ』
なじみのドラゴン?
『種族名でいうとカイザー・ボマー。爆発を得意とするドラゴンでしょうか』
爆発をするドラゴン。
うわぁ、物騒。爆発ってあれでしょ? あのドカーンと。派手っぽいなぁ。爆発するのは結構好きだしそこから脱出するのも臨場感があって好きだ。
けど戦いたくはないな……。
『私は神に仕えているといったらぜひとも紹介してほしいと言われまして。カイザー・ボマーなどと恐れられていますが優しく人間を見つけたら里に返してあげているのですよ。危険度はSランクだそうですけれど』
「……爆発がよくないのかなぁ」
『種族の特性なので仕方ないとは思いますがね』
特製ならば仕方ないと思う。
ポセイドラゴンとカイザー・ボマー。爆弾と水は相性悪いと思うけれど……。いいのか?
『と、後を追ってきましたね。後ろにいるのがボマーですよ』
と後ろを振り返る。
ドラゴンというよりかはキマイラみたいな。そんな感じの魔物がそこにいた。ポセイドラゴンのスピードに追い付き、並走して飛んでいる。
『ポセイさん! 紹介はしてくれた?』
『したした。上に乗っているのが神だ』
『うわぁ! たしかに神の雰囲気がする。ありがたやありがたや』
こいつあれだな。日本にいると何かの宗教にはまりそうだな。
なんとなくそんな感じがする。
『僕はカイザー・ボマーです。名前はないのでボマーでもカイザー・ボマーでもお好きなほうでお呼びください』
「……ミキよ、大抵のもんじゃあビビらねえゴエモン様がいまビビっちまってるんだがどうしたらいい?」
「…慣れ、かなぁ」
こういうのは慣れるしかないんだよ。
ゴエモンは立っているのがやっとで膝ががくがく震えている。コマチとブレーメンは既に気を失っていた。ゴエモンは落ちないようにそれを支えている。
『名前はミキというのですね』
「あ、うん。そうだけど」
『ミキ様。僕に使命を与えください。ここ千年神もなにも言わず、ドラゴンの治安が悪くなる一方でして。僕は役目を全うします。なので!』
「ドラゴンの治安ってあるんだ……」
役目、っていってもなぁ。
「じゃあマクラベル王国の民を守ってもらおうかな……なんて」
『お安い御用です!』
いいの!? っていうか、すごい戦力手に入れちゃったような感じがするが。
と、とりあえず王様のところに連れていこうか。と思っていると私たちが今居住している王都につく。早々に警報が鳴った。
住民は私たちを見上げてくる。そして兵士が飛び出してきた。
兵士は住民を避難させている。盾を構え、壁になっている。
『……僕なにもしないんだけどな』
『まぁ、Sランクの魔物が急に二匹も現れたらさすがにビビるじゃろうて。王都の民はこの王都は終わりだと思ってるのではないかな?』
うん。たぶんそう。
地震がおきてさらに大雨で洪水とか起きるとダメだと思っちゃうもん。天変地異が一気に二つやってきたって感じだろうか。そりゃビビる。
一刻も早く説明しないとなぁ。
優しい……。
カイザー・ボマーの生態特徴をいっておきましょうか。
体温はそれほどでもないけれど戦うときにはわざと汗を出す。その汗には爆発性の成分が含まれており、カイザー・ボマーの息と合成されることで爆発が起きる。




