愛と理想のファンタジー ③
魔女は魔法を放ってくる。
躱しきれない……! と思ったその時だった。上空から誰かが下りてくる。魔女に魔法をぶちかまして魔女は吹き飛んでいった。
「やれやれ。ここにいたのですか。ミキ様」
「あ、アルテナ様ぁ!?」
なぜアルテナ様がここに?
吹き飛ばされた魔女は立ち上がる。そして、アルテナ様の姿を見ると顔を青ざめていた。魔女は分身を解除し、そのまま逃げようと空中を浮遊する……。が、逃げれるわけがなかった。
「逃すわけなかろう?」
「観念するんだな」
こうして、アルテナ様のおかげで戦闘が終わった……のだが。
今なんて言ったんだろうか。ミキ様って言ったよな? 私は今ブレーメンだ。見た目だとわかるわけないんだけど……。
そういってアルテナ様を見てみると少し目をそらしていた。
「……何か隠してません?」
「……イエ、ナニモ」
隠してるだろ。
どうやらアルテナ様はもしかしたら他人を入れ替えることはできるのではないか? と閃いたらしい。ただ、自分と誰かを入れ替えると元に戻せなさそうで身近な信頼できる人に頼みたかったとか。
で、どうせだから驚かせてやろうとやって力を鏡に封じ込ませ、男に変装しその鏡を私に見せたらしい。
「すべてあんたかい!」
「……他者を入れ替えるという実験は成功いたしました」
「……もし失敗してたらどうなってたんでしょう」
「ミキ様の場合死ぬことはありませんが……。普通の人間だと魂が体に入れず消滅?」
ぶっ。
なに危ない橋わたってんだ!? ぶ、ブレーメン死んだんじゃないの!? っていうかあほだろ! この神様あほだろ!
実験台が私しかいなかったのもあると思うけど許可取りなさいよ!
「……ともかく、元には戻せるんでしょうね」
「……あっ、いや」
「……え?」
「その、元に戻せはしますよ?」
「……ふん?」
「ただ、魂が完全に消滅してるのでミキ様がその魂を作らなくちゃ……」
「なにしてんの!?」
完全に最悪のパターン引いちゃってんじゃん!? ブレーメンものすごく不憫じゃん!? 魂が完全消滅って……あんたなにやってんの!?
この体で魂を作れると思いますか?! というかこれ立派な神の不祥事だよね!? 神様ブレーメン殺しちゃってるよね!?
「もう元に戻してブレーメンの魂急いで作るから!」
「手間をかけさせてしまいすいません」
「もう! ほんとバカでしょ!? まじで!」
この人も大抵自由にやってるじゃんかよぅ!
私の体はアルテナ様が保管していたらしい。私はアルテナ様の力で自分のアバターに戻った。そして、突然頭にアナウンスが流れてくる。
《ブレーメンの魂を復元しますか?》
と聞かれたのではい、と答えると、一気に魔力が0となる。
急いで回復すると、それもまた0になった。魂を創るのって結構な魔力いるんですね。十枚羽をむしって、やっと作り終えた。
「……あれ、ここはどこですか?」
ここは第一層エリアです。
アルテナ様の実験でしたね。アルテナ様遊びでやったつもりが結構な大ごとになったようです。




