愛と理想のファンタジー ②
魔女は五人の分身を出した。
このクエスト五人のファンタジアを仲間にしてから起こるものだ。一人一体相手するっていうことでいいのだろうけど、オズとドロシーは別人格なだけで同じ人物だ。人数ではこちらが不利。
「オズか妾で二人を相手どるしかないかのぅ」
「僕はたぶん真正面から行ったら確実に負けるでしょう」
「ハーメルンは妾たちのサポートじゃ。三人が戦う。ハーメルンは笛で回復をすることを念頭に置くがよいぞ」
「わかった」
私は、バチを構える。
この姿ではブレーメンの戦い方をするしかないから。音楽で攻撃する。少しさっき練習して、狙い通りの相手に音色をぶつけることも可能だとわかった。
私はブレーメンとして、ブレーメンらしく戦ってみせようか。
「それじゃ、はじめぇ!」
私は太鼓を思い切ってぶっ叩いた。
その衝撃波が、魔女を襲う。魔女はその衝撃を躱した。躱されるとは思っていたし予想通りだ。しかも、これくらいでやられるほどヤワではないのだろう。
「不協和音!」
太鼓でどうやってだすのかわからないけどそう唱えると不協和音が鳴りだした。
人の悲鳴のような音。それを聞いた魔女は思わず耳を塞いでいる。その隙に私は斬る音楽をぶつけておいた。すると、魔女の腕が吹き飛ぶ。腕はポリゴンと化して消えていった。
「不協和音で隙を作るたぁやるじゃないですか。分身の腕がなくなりました。ですが、これぐらいでは死ぬほどヤワな分身じゃないですがね」
ですよねー。そんな甘くいきませんよね。
ただしかし、私も実際勝てるかどうかが怪しい。ブレーメンの能力をフルで使いこなせていないから。私自身の能力もフル活用できちゃいないのに他人なんかもっと無理ゲーだろう。
正直、行き当たりばったり見たいな戦闘って感じがする。
私は太鼓をどんどんと叩いた。
「鼓舞!」
パワーアップミュージックというものがあったのでそれを選ぶとどんどんと自分の能力が上がったような気がする。
なるほど、自分限定でバフも可能らしい。ハーメルンは全体にできるけどこっちは自分自身だけか。そりゃ仕方ないだろうな。味方にもできたらハーメルンの完全上位互換な気がする。
「ほう? 力を上げたか。ならば、それを下げるのみ! ダウンオール!」
と、能力が元に戻ったような気がする。
なるほど、相手もバフを解除できるのか。人だからそれほどの知能はあるのかもしれない。バフを治すというのは少し厄介だな。目立った強化もできなさそうだし。
さすがになれてない能力を使った戦闘はきついものがあるな……。
 




