愛と理想のファンタジー ①
操作するアバターが代わったことは数回あるけれど……。どれも自分の体が使用不可能となったからそのための依り代っていう感じがあった。
今回もそういう感じなのだろうか。というか、ミキ様とか言ってたような気もするし知り合いなのかもしれない。大方、アルテナ様だろうけど……。
「でも、久しぶりにこっちの世界だな」
今まで第九層だったということもあるけれどずいぶんと久しぶりだ。
「この体はブレーメンというらしいけど……。ブレーメンか。ハーメルンと同じ楽器を扱うけど……。ロバとかそういうのでてくるやつだよね?」
こういう人間は出なかったような。ファンタジアだからいいのか?
ブレーメンもファンタジアの一人だとは思うし。
「……ってここどこだ」
私は無造作に歩いていると知らないところについていた。
ハーメルンと、アリス、オズ、そして、私。ファンタジアが揃っている……。すると、上空から何かが降りてきた。黒いローブを羽織った老婆。その姿はまさしく……。
「魔女……?」
《精霊の守護者の仲間になったファンタジアが5人となりました》
《ファンタジアクエスト:愛と理想のファンタジーを開始します》
まさかの強制クエストでしたか。
というか、五人? 人数的にはそうじゃないんだけど。アリス、ハーメルン、オズ、ブレーメンで四人。一人足りないような気が……。って、もしかしてドロシーか? あれ別カウントなの?
というか、いきなりクエストって何ですか!?
「久しいのぅ。魔女」
「ええ。ずいぶんと久しぶりですわねえ」
と、高圧的な老婆は私たちを見てほくそ笑む。
「神は一緒ではないと。ファンタジアの力を持ったやつらしかいないとはついてませんね。神はあなたがたを見放したようですなぁ」
「いやいや。神は私たちを裏切るわけがないじゃないか。神に愛されないからと言って妬むのはやめてもらいたいのぅ」
アリスが微笑んで言葉を返した。
魔女がすこし震えている。怒っているのだろうか。すると、いきなり杖を振りかざしてきたのだった。杖からは火の玉が放たれて私たちはそれを躱す。
それにしてもこの魔女、前みた魔女とは違う魔女か。
たしかに童話では魔女は定番だし、眠り姫、白雪姫、ヘンゼルとグレーテルなど魔女が出る作品も多数ある。だけど今この場にいるファンタジアには全員魔女とのかかわりはないはずなんだよな。
「手合わせがしたいのなら妾達が相手してやる。貴様らごとき神頼みするほどの者ではあるまい」
「舐めたことを……!」
そして、魔女と私たちの戦いが始まったのだった。
新たなファンタジア、ブレーメン。
仲間にする方法:NPCを含む誰かが楽器を演奏できること




