ブレーメンの音楽隊 ②
どうやら私はブレーメンになったらしい。
ブレーメンの能力は全部使えるとのこと。斬る音楽、叩く音楽、吹き飛ばす音楽などなど、攻撃する音楽にも種類があるらしい。
魔力を込めるとそうなるらしく込めないで叩いてみると普通の太鼓だった。
「よし、ハーメルン! セッションいくよ!」
「はい」
私はすっかり太鼓にはまっていた。
気分はバンドのドラマー。どんどこどんとリズミカルに太鼓をたたく。
「ふぅ、いい演奏だったよ」
「ブレーメンさんこそ僕の笛と最高にマッチングしていたよ」
私たちは握手を交わす。
アリスたちが聞いていて拍手をくれた。
「うむ、素晴らしい音楽だった。士気が高まるようだったよ」
「やる気に満ち溢れていますね。アーサー様。魔物を狩りにいきませんか」
「そうだな。いい音楽を聞けたことだし世のため人のため。危険な魔物を倒しにいこうか。ランスロット」
「はい」
と、アーサーたちは討伐に向かった。
「いい曲じゃねえか」
「ですねぇ。みなぎりますね」
「なんだかいけそうな気がするな。よし、このまま盗み行くぜぇ!」
「白昼堂々と盗むんですか? バレますよ?」
「いけるいける! 天下の大泥棒ゴエモン様だぜ?」
と、ゴエモンたちも笑いながら盗みを働きに行った。
第九層にいって以来アリスたちとは会ってないが元気にしているようだ。どう生活してるんだとか気になってたけどこううまくいってるならいいか。
と、思っていると今度はベルゼブブが近づいてくる。
「いい音楽だった。魔界では味わえないような透き通った音色だ」
「ありがとう」
「相談なのだが魔界でも演奏をしてみないか? 悪魔の奴らにも音楽のよさを伝えたいのだ。音楽に熱中すれば人とも仲良くなれるかもしれないしな」
と、ベルゼブブが照れながらそう相談してきた。
悪魔のためを思っての事だろう。人との共存を大事にするらしい。ベルゼブブは大罪の悪魔なのにそれでいいのか? 悪さしてないように思えるが。
「大丈夫ですよ。音楽は僕のとりえです。望む人がいるならば聞かせてあげましょう。ねぇ、ブレーメンさん?」
「あ、う、うん。そうだね」
音楽は人をつなぐ橋となるのだろうか。
ハーメルンは笛を腰の笛をいれるための革袋にしまった。私はしまえるものがないのでこのまま放置。バチだけはいれる革袋があったのでそれにいれる。
今度あれだな。ドラムやってみよ。面白そう。
「笛の音と太鼓の音。どれも協調しあって互いに高めあっておった。いずれかはそなたらによるオーケストラを聞きたいのぅ」
「あはは。人数がいませんからできそうにありませんね」
「残念じゃ」
……たしかにハーメルンとブレーメンのコラボで結構いい音楽だからオーケストラとかだとどうなるんだろう。




