珠洲の初恋の相手 ④
思い切り遊び、時間は夕方となった。
最後にプリクラを撮って終わることにした。だがしかし、生まれてこの方撮ったことない……。珠洲は私以外の友達と撮ったことあるらしいけれど私と畦道さんはない。
「こ、これでお絵かきすればいいんだね」
撮り終わって今度は落書きするところになった。
えっと……。なんて書くべきか。いえーいとかそんなウェイ系な言葉でも書いておこう。ゲームセンターのプリクラなんてぱーりーぴーぽーぐらいしか撮らないんだから。
「名前もカタカナで書こう!」
「いいねそれ! ボクも書こう!」
「みんなやるなら私も……」
私もカタカナで”ミサキ”と書いた。真ん中に位置していて左に”シルベ”と書かれ、右に”スズ”と書かれる。
そして、プリントされた。私もそれを受け取り、眺める。おー、こういうものかー。
「というか美咲なんでダブルピースなの? アヘ顔でもすればよかったのに」
「そんなことするか!」
「というか、作り笑いっぽくない?」
「え、あ、ふ、普通の笑顔だよ?」
畦道さんが鋭いところをついてきた。
実はというと私は写真に写るのがそこまで好きじゃなかったりする。ゲームとかで有名なんだから今更とかいうけど、私自身に関する記録はそこまでつけてほしくない。恥ずかしい。
だから入学式とかそれぐらいしか私は基本的に写真を撮らせることはない。
「美咲はねー、写真とられたくない人なんだよ」
「そうなの? 可愛いから写してもらえばいいのに……」
「恥ずかしいじゃん。写真って後世まで残るとか考えると恥ずかしい」
「後世って……。人間何時死ぬかわかんないし撮っておくだけ撮っておいたほうがいいんじゃない?」
「いやいやいや。恥ずかしいもんは恥ずかしいでしょ」
私はプリクラをぽっけにしまった。
畦道さんと別れて珠洲と家に向かう。
すると、家の前に誰かが立っていた。黒いロングの女の子は蜜柑ちゃんだ。蜜柑ちゃん。なんでここにいるんだろうか。
そう思って蜜柑ちゃんに近づくと、蜜柑ちゃんは私に礼をしてくる。
「あの、美咲さん……。お願いがあってきたんです」
「お願い?」
「わ、私を少しだけこの家に泊めてもらえないかと……思いまして」
え、なんで。
そう聞こうとすると、もじもじと体を動かしている。少し悲し気な表情だった。大方父親と喧嘩でもしたのかもしれない。頼れるのが私のところだけだったのかな。
私はいいよと返事をした。
「珠洲。今日はゲームやっていいからちょっと畦道さんに知らせておいて。今日いけないってこと」
「わかったよ」
私は蜜柑ちゃんを連れて中に入った。




