珠洲の初恋の相手 ②
標は、私の後ろの席に座った。
隣に座ってる珠洲が驚いたような顔をしている。男子にそんな子いたかなと思っていたけどやっぱり女の子だったみたいだ。
「何女の子に発情してるの」
「い、いやだって男っぽく見えたんだもん。仕方ないでしょ勘違いしちゃったんだから」
そう話していると標ちゃんが声をかけてくる。
「あ、二人もしかして小学校で一緒だった広瀬さんと葉隠さんですよね!」
「う、うん。そうだよ」
そういうと彼女は抱きついてきた。
私に。
「奇遇ですね! ここで再会するなんて!」
「そうだね」
彼女は私の手を握ってくる。
今思い出したよこの子。そういえばいたわ。昔は結構身長もあって髪も短かったからよく男の子と勘違いされていた女子。
珠洲知らなかったのか……。
「広瀬さんでかくなりましたね。とても可愛らしいです。葉隠さんもおっぱいでかくなって羨ましいです」
……こいつ、貧乳だ。
仲間ができたぞ。私たちは仲間だ。貧乳仲間、同盟。裏切りは死をもって償う貧乳同盟の一員だ。ようやく貧乳仲間ができたな……。
珠洲は未だにショックから立ち直れていなかった。
「あ、あははは! 葉隠さんがボクを初恋の人って!」
珠洲の初恋のことを話すと標ちゃんは笑っていた。
ボクッ子なんだ……。
「ボク女の子だって結構周りに知られてたよ! 葉隠さんとも一緒に女子トイレ行ったじゃん!」
「女子トイレ一緒に行ってるのになんで勘違いしてるんだよ……」
「うるさい! ち、小さいときだったんだ! そりゃ勘違いもするよ!」
「でも大きくなって女子トイレ一緒に行ったなとか思い出せば気づくでしょ」
私と標ちゃんは笑い転げていた。
「でも、どんな形であれ覚えてくれていたのは嬉しいよ。あの時は親の事情で転校して転校した先で泣いてたんだよ。知ってる人いないから」
「可愛らしい面あるね」
「でもぼっち生活に慣れたきっかけでもあるね」
「ぼっちだったの!?」
「うん。高校二年生まででできた友達の数は0だよ」
悲しいことを言うな……。
逆に清々しそうだけどさ。
「でも、知ってる人に出会えた。よければ友達にならない?」
「まあ、いいよ。なろう」
いい人そうだしね。
それに、貧乳だし。私は握手を交わす。標ちゃんが珠洲に手を伸ばすと珠洲が拗ねたのだった。
「貧乳コンビが……!」
……あんだと?
珠洲がそうつぶやいた言葉。ちょっと導火線に火が付きましたねえ。笑ったのは悪かったけどそれをつく必要ありますか?
「はい珠洲悪口言ったからもう勉強教えない」
「ごめんなさい調子乗りました」
「あ、あはは……。ボクも気にしてるんだけどな……。ボクだって多分成長するよ。貧乳じゃなくて成長過程の胸って言いなおして」
「二人とも成長過程の胸です……」
まぁいいでしょう。
実際事実だ。私たちのおっぱいは成長過程。どこもおかしな点はないぞ。
「それでよし。さて、ボクこの街覚えてないからさ、放課後この街案内してくれない?」
「いいよ。それくらいは」
「ありがとう。下校時の友達との道草は結構夢見てたんだ」
ぼっちながらも人との関係を持ちたいタイプでしたか。
ミキの胸は成長過程っていってもあと最終工程だよ。鍛冶とかでいえばもう打ち終わって仕上げみたいな感じの……。あ、ごめん。悪気はないんだ許してミキちゃ(思考停止)




