天使を襲う者
一方ウリエルは、やっとこの前捕らえた人間を捌き終えた。
ふぅっと一息つく。最近は外にも出れず外の情報は何一つ知らない。とりあえず罪人の処分をしていただけで外で何が起きているかも知る由がなかった。
「さーって、寝よう。ここんとこ寝てないからな~」
と、伸びを一つして、ベッドに向かおうとしたとき、扉は開かれる。
「ウリエル! 妾とともに来るのじゃ!}
ウリエルは、絶望した。
やってきたのはカーリ。ラファエルも隣で微笑んでいる。
「なんですかカーリ様。お遊びの相手ですか」
「それも頼みたいが今は別じゃ。事件が発生した」
「事件?」
ウリエルは眠たい目を必死に開けている。
「天界が何者かに襲撃されたのじゃ」
「……天界は無事ですか? 損害は? 死者は?」
「ミカエルの頑張りにより死んではおらぬ。が、少々厄介な呪いを施されておった。その犯人捜しをするんじゃ」
「……わかりました」
「あと、最近高ランクの魔物の狂暴化なども報告されている。その調査も兼ねていくぞ!」
と、カーリ様が先行ってしまう。
ウリエルは大きなあくびをした。
「ガブリエルさんと言い、ウリエルさんと言い。きちんと寝ないと体壊しますよ?」
「ガブリエルももしかして徹夜で……?」
「ここのところあなたの断罪報告をまとめておりましたから。ウリエルさんも徹夜ならガブリエルさんも徹夜ですよ」
「そう。悪いことしたな」
ウリエルの眠気は今現在ピークにあった。仕事が終わったという解放感から眠気が一気にやってきたのだろう。
そんな寝ぼけた頭でなんとか会話していた。
「ふあーあ……。それじゃ、いきますか……」
「その状態で行くのは危険ですよ? 睡眠をとることも大事です。カーリ様には私が言っておきますので仮眠室で休んだらどうでしょう?」
「いいの?」
「ええ。普段頑張っておられるのですから。私がウリエルさんの代わりにやっておきますよ」
ラファエルはふふふと笑った。
ウリエルはありがたく天使の仮眠室に向かう。するとガブリエルと鉢合わせになったのだった。
「ウリエルも眠るんですか?」
「う、うん。ごめんね、一緒に徹夜させちゃって」
「いえいえ。狂暴化などの調べることもあったのでウリエルさんのせいじゃないですよ。ふあーあ……。とりあえず、寝ませんか」
「そうだね……」
ガブリエルとウリエルは中に入っていく。
そして、二人はベッドに横になり、目を閉じると数分もしないで眠りについた。
「けけけ、まんまと騙されやがって。俺は知ってるぞ。仮眠室には窓がないことを。逃げれねえなぁ?」
男は笑った。
そして、完全に眠った二人を殺そうと仮眠室に近づくと、一人の女性に呼び止められる。
「よぅ、ラファエル。お前も寝るのか?」
「あら、ミカエルさん。ええ。少し眠いので……」
「そうかいそうかい」
ミカエルはそういって、男の首筋にナイフを投げた。それをはじく男。
「ここは天使の仮眠室だ。悪魔が立ち入っていい場所じゃねえよ」
「……驚いた」
ラファエル……もとい、悪魔は変装を解いた。
メガネをかけ、頭に角を生やした悪魔。
「ミカエルは天界一バカだと聞いたのだが情報に間違いがあったようだな」
「いや、私はバカだよ。だけど、ラファエルじゃないんだよ。しぐさが」
しぐさまでは真似できなく、それとなく似せただけだった。
ミカエルは剣を構える。
「本物のラファエルはどこにいる?」
「本物? ああ、悪魔界に連れていった……」
と、その時だった。
上空から、誰かが勢いよく降りてくる。眠っているラファエルを抱えて悪魔の羽根を生やした男が下りてきていた。
その姿を見た悪魔は驚きを隠せなかった。
「ミキもいなく、暇だから悪魔界に戻ったはいいが、天使がいたので返しに来てやった」
「ベルゼブブ……!」
悪魔が、天使を返しに来た。
「お前がラファエルを連れ去った悪魔か。ふむ、力も弱ければ変装くらいしか取り柄のない……。神をも騙せる変装技術は評価できるが……。まだまだだな」
「う、うるせえ! お前なんかに評価される筋合いはねえ!」
と、男は殴りかかる。
それをひょいっと躱し、ベルゼブブは思い切り投げつけた。
「悪魔が天使の味方をする……というのは些か滑稽ではあるがミキの仲間なら一応私もあんたらの仲間なのでな。困ったら呼ぶがいい」
「お、おう。助かったぜ」
ベルゼブブはまた飛び去っていく。
ミカエルは少し茫然としていたのだった。
ちょっとつなぎ的な閑話ばかりでごめんなさい。
一応本編には関係あるところもあるっちゃあります。あと、ネタバレしておくと不穏な影は多分出てくるのは当分先ですかねぇ…。




