桜舞う、それを止めることはできない ③
いったん距離を取って態勢を整えているけれど……。
あれをどう攻略しようというのだ。木の根がまず厄介だ。動けないで毒でじわじわ殺されるとなると……。遠くで狙撃するしかないのか。
木の根をうまく躱しつつ魔法を放つか。
「ガァァァ!」
アクアが吠える。
そして、水を勢いよく口から吐き出していた。ハイドロポンプ?
その水は桜の樹にあたる。少し体力が削れていた。だけど水耐性はあるのだろう。それほど減っていない。
植物に水は効かないから仕方ないだろう。火は逆に通りやすいのかも。
火の魔法で焼き払う……のもいいけれど射程距離内に入るには最低でも木の根が這うエリアの半分まではいかないといけない。
四方八方に木の根があるので無理だとは言わないけれど相当きつい。躱すのに自信があるけれど正直これは自信ない。
「っと、まずい、見すぎている」
見すぎると催眠状態になる。
危ない。見ないで近寄れって言うのも難易度を更に上げている。なにこれ無理ゲー? 弱点を探すしかないだろうけど……。
それにはまだ観察が必要だ。
「勝てそう?」
「わかりません……。相当きついというのは確かです」
「ご、ごめんね」
「謝ることじゃないですよ。不可抗力ですから」
強制ならば抗うことは不可能だろう。
「魔法をどこで打つか……。近づくにはどうしたら……」
「あの根っこが厄介だよね。どうにかして引き寄せることはできないのかな」
「引き寄せ……? そうだ」
私は分身を作って先に行かせた。
すると、木の根はどんどん絡みついていく。弱点はあれだ。絡みつくのに根っこ一つじゃ無理なんだ。複数の人が盾になりつつ……。
あ、これレイドボスですわ。
やり方分かった。というか、やり方が複数人前提で複数だとこれ楽だ。
「最低でも十人犠牲になる必要が……。あ、そうだ。使ってなかったこのスキルが活躍する!」
十体魔物を創る。
魔物が出来て桜の樹に突進していくと、その魔物に絡みあって毒でじわじわ殺している。根っこが無くなった!
なるほど、楽だ。これ、複数いるとマジ楽ですわ!
「ソゥ様! 攻撃は任せます!」
「え、ええ?」
「とりあえず火の魔法たくさんぶっ放すだけで大丈夫です!」
「わ、わかった!」
やる方法はいたってシンプルだ。
木の根っこで拘束している魔物を死なないように回復させるだけ。この間はめちゃくちゃ無防備だし死なないと木の根は止められないのかもしれない。
バカじゃないの!? その隙が命取りなんだよ! 一時は勝てるかどうか不安だったけどこれなら楽勝!
……でもなんだろ。ものすごく嫌な予感する。




