桜舞う、それを止めることはできない ②
アクアはポセイドラゴン形態に戻って空を飛んでいた。
そのモンスターが現れた場所に向かう。すると、一本の桜の木が生えていた。桜散るが、ここらへんにモンスターが湧いたという。
すると、アクアはその桜の木に向かって攻撃し始めた。
「アクア? なにしてるの?」
「この木、魔物と化してます。私と同じランクです」
「え?」
アクアと同じって……Sランクってことですか!? ということは相当強い?
まじですか。と思っているとその桜の木が動き出した。鑑定して名前を見てみる。モンスターの名前は”桜の亡霊”というものだった。
亡霊って幽霊? だけど幽霊っぽさは感じない。いや、実体はあるとなると、あれか。桜の木に死者の亡霊が乗り移ったとかそんな感じかな!?
「類的にはアンデッドです! 真野ちゃん、光属性がたぶん弱点です!」
「え、そ、そうなの?」
「桜の亡霊ですから!」
桜の木を見て思い出した。
堀井基次郎の作品を。元となったのはそれか?
「桜の樹の下には死体が埋まっている……。それをまるまる現したんだ」
「堀井基次郎の?」
「はい」
あれを読んだときは正直その通りかもと思った。桜って美しいけれど儚く散る。それは人間も同じだって。
そう考えると愛でることができるというのもなんだかわかる気がしていた。
そう、していただけ。実際は無理です。
呆気に取られていると、木の根が私の足を掴む。
まずい、囚われた!
と、桜の樹が私に近づいてくる。そして、私の目の前で桜を散らせていた。ゆっくりと降り注ぐ桜の花びら。
ずっと、見つめていた。視線をそらそうにもそらすことが不可能。これは……どういう戦いなんだ?と、考えていると桜の樹が吹っ飛ばされた。
「ぼさぼさしない! こいつは木の根で捕えている相手をじわじわと毒で殺すんです!」
「まじか!?」
確かに体力が減って毒状態になっていた。
なるほど、痛みもないし綺麗だったし視線をそらせず硬直していた。一度囚われたら抜け出すのに容易ではなさそうだな……。
「厄介ですね……! 木の根が……!」
木の根がうにょうにょとうねっている。
迂闊に近づくとさっきみたいなことになりそうだった。すると、今度は真野ちゃんがふらふらと近づいていこうとしていた。
桜が散っている。ふらふらとした足取りで……。
「まずい! ソゥ様が催眠状態にかかっている!」
「状態異常多いな!?」
毒に催眠とか!
ソゥ様に状態異常回復魔法をかけた。正気に戻り、私の隣に戻ってくる。
「……桜が綺麗だった」
「桜をずっと見てたらダメなのかもしれませんね」
ずっと舞い散る桜の花びら。それを見ていたら催眠状態になる。
そう考えると相当厄介だ。見ることもできなければ近づくこともできない。私とかならまだしもチリンとかなら無理ゲー臭いな……。
だけど、まだ嫌な予感はする。
これが本気のパワーじゃないような感じがしていた。もっと本気がある……。と思っていると、桜の樹がでかくなっているような気がした。
「むぅ、厄介なことになりましたね。私の存在に気づきましたか」
「え?」
「あの桜の亡霊。相手の危険性で自分のサイズを判断します。危険性が増すほどでかくなるんですけれど……。私の魔力、感じ取られましたね」
え?
すると、桜の亡霊はどんどんとでかくなっていった。遠くにいたはずの私たちの上に桜の樹の枝が上にあった。
桜の花びらが降り注ぐ。範囲もでかくなった!? ここじゃまずい!
「ソゥ様! 一旦離れましょう!」
「う、うん! ”ラプラスの悪魔”」
自動回避するスキル!
私は木の根を避けつつ、桜の亡霊から距離を取った。
さて、どうしよう。
桜の樹の下には死体が埋まっている。
ミキちゃんの足下には総帥の死体が転がっている。
幻惑や魅了の類じゃないからミキちゃんが無効できないのが厄介な点ですね。
魅了や幻惑は精霊王の眼で無効化できるけど催眠は通じてしまうチョロインです。




