トラップタワーにご注意を ③
まず、ここがどこだかをはっきりさせたほうがわかりやすいだろう。
ここはどこかというと時計台の中。
時計台は魔物化している。なら、ここから結び付けられるのは簡単だろう。
――私たちは、魔物の中にいる。
つまり壁も魔物なのだ。生み出しているのがこの時計台自身だとしたら、壁を殴って怯ませればいい。それならば、少しは隙ができるというわけだ。
こういうことをちまちまやれというのだろう。
ただ、これだけならまだ簡単なんだが、そうは問屋が卸さないだろうな。
必ず、まだ、私たちのゆく道を妨害してくる、だろうな。
「なるほどな。そういや魔物なんだよなこの壁も」
「そういうことです。さて、早く進みましょうか」
私たちは延々と進んでいった。
妨害してくる罠の数は数えちゃいないがそれはもう多かったのだった。壁が押し出されてきたり、落とし穴だったり、古典的な罠がたくさんある……。
そして、ようやく、最上階……動力炉がある場所まで辿り着いたのだった。
「なるほど。ボスっていうだけあって一筋縄じゃ行かねえな」
そう。私たちはそのまま扉を開けられたら……という希望を持っていた。だが、それはできなくなったのだ。扉の前には、門番がいた。リトルガーゴイル。石像の鳥が門を必死に守っていたのだった。
「どれ、まずは様子見をしようか」
息をひそめ、そのボスを観察する。
あくびをするが油断はなかった。隙が全然見当たらない。
こうなったら、正面突破……しかないんだろうが、
「グァァァ!」
リトルガーゴイルは鳴いた。
すると、私たちの元に向かって、駆け出してきていたのだった。どうやら、見つかった……ということらしい。
「こいつを倒さない限り無理かよ!」
「……は? あ、ちょっと待ってくれ」
「どうした? ガデム」
「いや、こいつを鑑定したんだがな? そ、そのレベルが桁違いなんだ」
「桁違いぃ?」
「あ、ああ。このガーゴイルは、レベル70と記されている……!」
ええ!? 私たちの最高レベルがまだ四十なのに、その三十も上……?
なにそれ。無理ゲーじゃん。それとも、何か方法があるのか? いや、あるからこんなレベルなんだろう。この状況を打破するためには……。
私が謎を解かないといけない。それも、迅速に。でないとガトツさんたちがリスポーンしてしまうから。それだけは避けないと!
「七十だと!? 間違いじゃないのか!?」
「間違っていない! 七十と書いている!」
だよな。間違っていない。私も鑑定したけどそうだった。
七十か……。今の私たちでは討伐は不可能。無視することもできない。なら、なにか方法があることは明確だ。
例えば……
「この電磁石を、ぽいっと」
ところどころに落ちていた電磁石。同じ石なら多分動く動いてくれお願いします動いてください。なんでもしますから。(何でもするとは言っていない)