従弟ができました ①
あ、シリアスに何にもならないんで
停学なうということで、随分と暇を持て余していた。
お母さんの手伝いを済ませ、自分の時間ができるけれど、ゲームも今封印しているためにやることがないというか。
封印でも解くかと思うとまた一回、一回とやってしまうような気がする。特例中の特例じゃない限り封印しないと。
お母さんも最近ゲームやりすぎよって言ってたし……。
「美咲ー、今日従弟くるから部屋片づけておいてー」
「はーい」
と、ソファから立ち上がる。
……あれ?
「え、従弟いたの!?」
「血はつながってないけどねぇ。妹の再婚相手が子連れだったのよ」
ああ、なるほど。
叔母さんの再婚相手が子連れだったんだ。義理の従弟ってことになるのかな。いや、しらんけど。とりあえず部屋を片付けておく。
リビングも掃除機をかけてテーブルを拭いたりしているとインターホンが鳴った。
『お姉ちゃーん。遊びに来たよー』
と、叔母さんの声が聞こえたので私が迎えに行った。
「叔母さん。どうもです」
「あらぁ、美咲ちゃん。大きくなったわねえ。とりあえず家族紹介するから中に入れてくれる?」
「はい」
女子一人に男の子一人に男性一人。
相手の子供が二人か。大変だなー。そう思ってリビングに案内する。女の子たちは緊張しているのかものすごく堅かった。
でも、すこぶる可愛いな……。
「お姉ちゃん。再婚相手の真司さん」
「どうもです」
「どうも。うちの妹が世話になるわねぇ。前の旦那は死別しちゃって落ち込んでると思ったけどそうでもないのねえ」
「いえ、私が口説いたときは落ち込んでました。言うのもなんですが傷心につけこんだんですね」
「あらぁ、正直ね」
「隠し事してたらいい関係になれないでしょう?」
たしかに。
「美咲。子供たちは子供たちで遊んでなさい」
「はーい」
といわれたので二人を連れていく。
緊張がすごいのか二人とも静かだった。
「とりあえず名前だけ教えて? 私は美咲っていうんだけど」
「そ、その……蜜柑です」
「僕は大翔です……」
かったいなぁ、
従弟になるんだからもうちょっと明るく言ってほしいものなんだけど。いや、初対面だし仕方ないのかもしれない。さてはこの子たち人見知りだな?
なら、ゲームをやろうか。封印していたけれどA2O以外のゲームならいいだろう。
「じゃあみんなでゲームやろう」
「ゲーム!」
「ん、大翔くんゲーム好きなの?」
「え、あ、いや、前までやれなかったので」
「そうなんだ。じゃあ、好きなだけやろっか」
「いいの!?じゃなくて、いいんですか?」
「敬語はいいよ。じゃあ私の部屋いこうか」
階段を上がり、私の部屋に入ると珠洲が私のベッドで寝そべりながらマンガを読んでいた。
「おー、来たか」と呑気に言ってるけどなんでいるんだよ。
「なんでいるの?」
「いや、暇だったから」
「暇なら勉強しろ! こうして無駄な時間を使うから勉強できないんだよ!」
「……たまには息抜き必要じゃん!」
「息抜きだとしてもなんで私の部屋でくつろいでるんだよ!」
「息抜きがてら美咲と遊ぼうと思ったんだけど……だれ?」
珠洲は後ろの二人を指さす。
「従弟。蜜柑と大翔っていうの」
「従弟いたんだ。あ、私幼馴染の葉隠 珠洲。よろしくね」
二人は恐る恐る手を出した。
「ものすごく緊張してるね」
「極度の人見知りなんじゃない? それより珠洲。暇ならみんなで遊べるゲーム持ってきて」
「任せろ!」
窓を開けてぴょんっと隣の部屋に乗り移る。
実は珠洲と私の部屋の距離はそこまで遠くなく飛んだらお互いの部屋を行き来できるくらいには近いというなんとも微妙な設計。
珠洲がいつ来てもいいように昼間私が部屋にいるときは窓の鍵を開けている。ただ、よい子のみんなは真似するな。危ないから。
「これなんかどう? パーティーゲーム」
「じゃあそれかなぁ」
レッツ、ゲーム。




