朱音と珠洲とクラスメイトと… ⑧
私はお菓子をもって朱音の家に向かった。
ピンポーンとインターホンを鳴らす。とてとてと誰かが駆けてくる音が聞こえた。そして、扉が開かれる。男の人がドアを開けた。
「……あの、朱音さんいますか」
「朱音の同級生かい……? 悪いけど今朱音は落ち込んでて……」
「その、朱音にお詫びをしたいんですけれど……」
「今は誰も受け付けそうにないんだ。名前だけ聞いて伝えておくよ」
「あ、はい。広瀬 美咲と……」
というと、その男の人に肩を掴まれる。
え、やっぱり恨まれてる? 朱音を落ち込ませたのが私だから?
「君が広瀬さんか!」
「へ? あ、はい」
「お詫びになんてこなくてもよかった。むしろ私たちのほうが行くべきなのに。どうぞ上がってくれ」
と、家に上がる。
ソファに座らされて、その男の人はあたまを下げた。深く頭を下げてきて私は少し困惑している。
「私たちの娘が昔からずっと迷惑をかけた。小学校の頃から朱音にいじめられていたみたいで……。申し訳なかった」
「え、知ってるんですか」
「知らされたのは昨日だ。今日、私たちのほうで君の家にいってお詫びをしようとしていたんだ」
そうなんだ……。
「別に気にしなくてもいいですよ。今は仲良くしてますし、いじめられてたのは昔ですから」
「そういってくれると助かる。朱音からすべてを聞いた。その、朱音に私たちが無理やり聞いたんだ。だから朱音は悪くない」
自殺のことを言っているのか。
別に隠したいわけでもない。自殺未遂をした、っていって離れるのならそれまでのことだし。珠洲とかが今いるから私は大丈夫。
「君が死んでいたらもっと朱音は後悔していたと思う。君が生きていてくれてよかった。君が死んでいたら、私は朱音を許さなかった」
「え、いや……」
なにもおたくの娘さんだけが原因じゃないですから。
おたくの娘さんのせいが大体二割くらいで大体が原田ですから。何も悪くないです。
「ありがとう。娘を許してくれて」
「……その、えっと、気にしなくていいですよ。何回も言うように今仲良くしてるんで。あ、これお菓子です。その、私も落ち込ませちゃったんでお詫びにと……」
「律儀だな……。ありがとう」
コンビニで買った菓子折りを渡す。
これ意外と高かった。二千円くらいしたよ。あわよくば私も食べられないかなとか思ってたけど無理そうだ。厚かましいな。自分で買ったものをお詫びとして渡したのに自分も食べれないかって。厚かましいですね自重します。
「では、朱音のところにいきますね」
「……鍵をかけているんだ。でてこない。そっとしておいてほしいんだが」
「いえ、そっとしてると朱音は後悔しますよ。私が気にしてないっていうことを伝えないといけないんです。ちょっと乱暴な手段になるかもしれません。何かを壊してしまったらすいません」
「気にしなくていい。ドアでもなんでも壊してくれて構わない」
よし。
私は朱音のところに向かった。朱音の部屋をこんこんとノックする。
『でたくない』
と言っていた。
このまま言っても開けてくれそうにないな。私が気にしてないよと言っても開けてはくれないだろう。だから、実力行使にしよう。
ドアを壊してくれても構わないといってくれたんだ。よし、壊そう……。じゃない、無理やり鍵を開けよう。針金は借りてきた。
鍵穴があるドアだからピッキングができる。いや、やり方は知らないけど見様見真似だ。
えっと、ドアに耳を当てて……。
カチャカチャと針金を動かす。……いや、開けられるかどうか不安なんだけど。その時だった。カチャリという音が聞こえる。開いた。やれるもんだ。
そして、私は扉を開ける。
「朱音、あっそびーましょー」
私はそういって中に入っていった。
たぶん次で終わるかなこのシリアス?は。
感想欄でワイヤーとか言われて言い訳しましたが正しくはハリガネです。ワイヤーなんていうぶっといの挿したらイッちゃう




