ランティスの狩り
ポセイドラゴンが王国に襲撃したということで私は王城に呼ばれたのだった。
騒ぎの原因は私って決めつけられてるけどそれは違う。子供が勝手に降ってきてそれをテイムしただけだ! だ、断じて悪いことはしていない!
……多分。
謁見の間で頭を下げていると「はぁ」とため息をついた。
「ハラハラしたんですから……。もうこのようなことは控えてくださいね」
「と言われても好きでやってるわけじゃないんだけど……」
偶然。そう、これは偶然なのだ。だから私は悪くない!
「ポセイドラゴンの危険性は?」
「ない、ですけど」
「ならいいんです。国民も不安がっているので大丈夫だと伝えなければ……」
なんか仕事増やしてごめんね。
アクアは隣ですました顔をしてついてくる。原因は貴方ですからね。そんなクールぶっても……。と思うけれど過ぎたものは仕方ない。
とりあえず屋敷に戻ることにした。
日も暮れ、夜になる。
モンスターも活発化していて夜のモンスターは昼間より凶悪なものが多いとか。経験値もその分いいんだけど私はもうレベルマックスだしやる意味がないのと……。あと、幽霊が怖い。
「ピィ!」
と、私の頭の上に乗っていたランティスが突然羽ばたき始めた。まっすぐ、まっすぐ進んでいく。この先には出るための門しかない。
……えっ、でるの。やめてよ。私怖いんだよ。ゴーストとかマジ無理なんだよ……。
引き留めようにもランティスは生きたそうに笑っているし隣のアクアも微笑ましく見ている。止めるに止められない。
うぐぐ……。
「ランティス。狩りを覚えましょうね」
ランティスがモンスターを狩るらしい。
普通こういうのって弱いものを狩らせて徐々に強いものを狩るっていうほうがいいと思うけど……。まぁ、アクアたちの好きにさせるか……。
と、目の前にデカいクマが現れた。
鑑定してみると”キングベア”というらしい。
キングベアは私より数倍大きなサイズだった。それと対峙するのは私の頭にのっかれるくらいの小さなドラゴン。
体型から考えて有利なのは明らかにキングベアだろう。
「ランティス。あなたならできます。ほら、狩るのです」
だがしかし、話によるとこの幼体でもBランクの強さはあるという。
だから勝てる要素があるというわけで。うむ、わからない。ランティスは「ピィィィィ!!」と咆哮を空に放つとキングベアとの距離を詰める。キングベアは腕を振り下ろした。
だがしかし、キングベアの攻撃は外れる。ランティスが躱したからだ。素早い身のこなしで一気に間合いを詰めると、ランティスがキングベアの胸のあたりに勢いよく突進した。
キングベアはずざざっと後ろに押されている。威力もそれなりにはあるようだ。
キングベアは口から血を吐いた。
「ピィ!」
そして、首にかみつく。
キングベアの巨体はそのまま倒れてしまった。す、すごい。見た目不相応の力があるな……。Bランクも納得する……。




