ビビっちゃダメ
このポセイドラゴンの名前を決めなくてはならない。
アトランティスはもう使ったしもうポセイドンでいいんじゃないかなと思うけれど多分メスなのでポセイドンというわけにもいかないだろう。
もう面倒だからアクアでいいや……。
《名前をアクアで決定しました》
アクアはかしこまったように礼をした。
そして、光出す。光が止むとそこに人間がいた。が、これはアクアなんだろう。アクアが人間化した。水色の髪を持ち、周りには小さい水球が浮かんでいる。見た目は美少女……。服はドレスだった。
うわぁ、おっぱいもある。寄越せよ。
「では、不束者ですがよろしくお願いします。旦那様……というのはおかしいですね。ご主人様?」
「……旦那様」
その言葉が私の胸にクリーンヒットした。
男みたいな胸してますもんね、ええ。
「ご主人様でよろしいでしょうか」
「うん……。もういいよそれで」
「かしこまりました。この子の名前はなんというのですか?」
「ランティスだよ」
「いい名前です。では、戻りましょうかご主人様」
神域からでて神域を消した。
マツリ様の屋敷に戻ると二人は武器をもっていた。戦う気満タンだったんだ……。私の姿を見るとほっと一息ついた。が、また剣を持ち直す。
「そちらのお嬢さんは誰でしょう」
「ん、従魔……のアクア」
「初めまして。ポセイドラゴンのアクアと申します。以後お見知りおきを」
と、ドレスの裾を少し上げてお辞儀をすると、スルトとグレンの驚愕の声が屋敷に響いた。
「さ、さっきのポセイドラゴンがお嬢さんですか!?」
「なんで手懐けてんだよ! 怖えよミキ!」
なんで手懐けただけで怖がられなくちゃいけないんだよ。
私の頭の上にはランティスがのっかっておりピィと可愛らしい声で鳴く。いや、うん。よくみるとかわいく思えてきたな……。
「ランティス。こっちに来なさい。ご主人様が迷惑そうにしていますので」
「ピィ……」
「そ、そんなことないよ! 可愛いなぁもう」
と、思わず撫でてしまった。
「ポセイドラゴンが可愛い……? 俺らにとっては恐怖でしかないんだが。なぁ?」
「え、ええ。いつ襲ってくるかと思うと恐怖なのですが」
ええ。こんなに可愛いのに。
と、ランティスがスルトたちのほうを向いた。そして、ピュイッと水鉄砲をスルトたちに当てている。ピィと喜んでいた。
濡れたスルトはまだうごかない。
「たしか幼体ですらBランクの実力はあるんじゃなかったか?」
「今のが水鉄砲でよかったです。本当に……」
「い、命がいくつあってもたんねえよ……」
「まったくです」
いやいや。そこはこのーとかいってお返ししなさいよ。
ビビっちゃだめだよ……。
普通の人間が自分より強く殺すかもしれない相手に馴れ馴れしくできるかってんだ。
あ、ちなみに本日は作者の誕生日でした。




