ポセイドラゴン
親方! 空からドラゴンが!
いや、こんなところにドラゴンがなぜいるんだろうと思う。ただ、この子ドラゴンは生まれたてのような感じもしなくはない。
となると、親がどこかにいるはずなのだ。
異世界でドラゴンというと……。子を思う気持ちが強すぎて子ドラゴンを探して人間の街を滅ぼすとか、そんなことあるじゃん……。
そう考えるとやばいもの空から落ちてきたな!?
「返しに行こう!」
そう決意した。
まずは鑑定してどういうドラゴンなのかをわかろうか。鑑定してみると”ポセイドラゴン”と名前が表示される。ポセイドラゴン……?
とりあえずわからないのなら図書館で調べてみようか。
図書館でドラゴンの図鑑を持ってきた。
そして、ポセイドラゴンの項目を調べると最後のほうにあった。図鑑は魔物でランク分けしているらしく高ランクなものほど最後尾に行くのだとか。
うん。この時点でモンスターランクとしてはS確定ですわ。
私は冷や汗を感じながらも図鑑の項目を読んでみる。
「えっと……」
図鑑の内容はこうだった。
”海の神ポセイドンが最初に作ったと言われる海を司るドラゴン。海のほうで暮らす村の人たちは神獣と崇めている。
海を操る力を持っているわけではないが水を操る力がある。
性格は極めて温厚だと知られているが、怒らせると三日三晩怒り続けるという”
……ポセイドンが作ったからポセイドラゴン。なるほど。
そうじゃなくて。この子そんなやばいドラゴンの子供だったの!? だとしたらなおさらやばくない? なんで路地裏にいたのかが疑問に残るけど……。
海のほう、にいくとしてもこの王都から海までは遙か遠くだ。マツリ様が治める領地は海に面しているというが、そもそもそこまで遠い。
厄介な落し物拾ったなぁ!
「ピィ?」
私のそんな悩みは知らないのか可愛く首をかしげるドラゴン。
この絵も相当デカい。将来この子がこんな大きくなるのか。というか、本当にどこから来たんだよこの子は。
「ピィ♪」
《親だと認識されました。名前を付けてください》
って、なんで今更親だと認識するわけー!? さっきまでしてなかったの!? っていうか親に認定されたって……なんで!?
刷り込みか!? いや、でも卵のかけらもなにもなかったし刷り込みではないような気がするが……。
図鑑に何かのってないか?
”生まれたてのドラゴンは目が見えないので十分ぐらい感じた体温の人を母親だと思ってしまう”
書いてあるし。こういうのも書いてあるんだ……。
目が見えないからこう体温を感じて私が親だと認識されたわけか。なるほど。目が悪いから……。体温で刷り込まれた、という感じなのだろう。
……不本意ながらもドラゴンをテイムした、という形になるのかな。
テイマーじゃないんだけどな。
不意にテイムしちゃったドラゴンくん




