図書館で勉強会
それは、ある日の午後。
「朱音! やっほー!」
「みさ! おっすー!」
霧崎さんと遊んでいた。
あれからというもの、特にギスギスしたこともなく遊びによく誘われていた。霧崎さん……もとい、朱音と一緒に買い物だったりスイーツの店に行ったりなど。
珠洲は勉強しているのに私だけ遊んでいるのも申し訳ない。なので、今日は勉強しようと誘ってみた。と、嫌だと言われるかと思ったら……。
『その、まじやばいんで助けてください』と、言う返事が来たので、珠洲も誘ってやることにした。
「……だれ?」
「ん、霧崎さん」
「……!」
珠洲は私を庇うように前に出る。そして、睨んだ。その珠洲に委縮している朱音。
「珠洲。仲直りしたからいいよ」
「……いつしたの?」
「一週間前?」
そういうと珠洲は肩を落としていた。
「そ、その節はごめんね。葉隠も……」
「……まったくもぅ」
「これからは仲よくしようと思ってるんだ。私がやったことは許されないかもしれないけど……」
「私に弁明はいいよ。それで、勉強するんでしょ? 図書室に行こうよ」
「そうだね」
私たちは図書室に行くと、また、見知った顔が座っている。
地衣だった。地衣がメガネをかけて勉強している。地衣も学年順位でいうと3位という好成績を残している。バイト三昧で、勉強もして……大変だな。
地衣も気づいたのか手を振ってくる。
「……あれ、霧崎さんと知り合いなの?」
「知ってるの?」
「うん。バイト先が同じ」
そうなんだ。たしかにバイトしてるとか言ってたもんな。
「……えっと、名前」
「……真田 地衣。覚えられてなかったんだ」
「ご、ごめん。人の名前覚えるの苦手でさ」
「いいよ。最近入ってきたばかりだし、バイト掛け持ちしてて忙しそうだったし仕方ないよね」
と、地衣は笑っていた。
座りなよ、と促してきたので座ることにする。教科書を取り出し、勉強会を始めることにした。珠洲と朱音も取り出す。私も問題集を解いていた。特に躓く場面もなくすらすら解ける。流石に全問正解と魔ではいかないけれど高得点は取れそうだ。
「みさ。殷時代の次ってなんだっけ」
「周でしょ?」
「あ、そうだ。ありがと」
歴史の勉強をしているらしい。
教科書を覗き込んでみると昔の中国のところを覚えている。殷周春秋とかあったなー。中国とかよりヨーロッパの歴史とか好きだな。中世とか貴族とかかっこよくない?
ラノベでもよくあるように貴族で豪遊生活とか、そういうの少し憧れるんだよね。A2Oで結構現実見せられているとは思うけど。
「ん、美咲。これ教えて」
地衣が聞いてきたのは理科。
私は地衣の隣に行こうとすると、男の人がこちらの席に近づいてくる。その顔は、見覚えがあった。いや、数か月前にもあっていた。
「あんれー、奇遇じゃーん」
原田が、そこに立っていた。




