獣人を助けよう
現場に行くとエルルゥたちがすでに倒しているようだった。
弓矢を片手にこちらを向いて苦笑いを浮かべるルルーク。彼女たちもこの世界に来たんだ……。と思っていると、エルルゥがこっちをみて挨拶してきた。
「久しぶりに見た気がするよ。よっす」
「よっす。まぁ、たしかに久しぶりかも」
最近エルルゥとプレイすることがなくなってたし久しぶりといえば久しぶりだ。
それにしても、エルルゥたちがこの数相手したんだ。すごいな。山賊と思われる人たちは地面に転がっており、エルフであるみなさんは感謝しているのか祈りを捧げている。
「……終わってんのかよ畜生が」
「あ、すいません」
「いや、別に構わないが」
戦いたかったのだろうかすこし悔しそうだ。
「お母さん!」
「シズク!」
シズクちゃんが女性のエルフに駆け寄っていく。
抱きついていた。お母さんと再会できたんだろう。嬉しそうに泣いていた。生きててよかったというべきなんだろうな。
だけど、少しリリエちゃんが寂しそうにしている。実際寂しいのか、私の服をぎゅっと掴んできた。
「……次は獣人の里のほうに行こうか」
「……うん。お母さんに会いたい」
シズクちゃんがお母さんに会った今、自分も母親が恋しくなったんだろうか。
私はリリエちゃんをおんぶする。抵抗もせず、そのままおんぶされていた。
「じゃあ私たち今度獣人の里のほうに行くので。道わかったら教えてもらいたいのですが」
「獣人の里ならワシが転移魔法で連れていこう。だが、獣人の里も襲撃されている。目立たないところに転送するぞ」
「それで大丈夫です」
「わかった。どうか、獣人の方も救ってくだされ。女神様」
「……女神? ミキが?」
と、チリンが指さして笑いをこらえている。実際種族的に女神だけど?なに、やるの。喧嘩なら買うよ? もうすでに買う準備はできてるけど。
「種族はともかく性格には女神に到底及ばないような」
「精霊魔法:炎」
「あぶなっ!?」
ちぃ。外したか。
「バカやってねえでいくぞ! 獣人のほうもやべえ状況なんだろ!」
「あ、うん。すいません」
スルトに怒られた。
獣人の里に転移してくると、ものすごく静寂に包まれていた。まるで誰もいないような感じ。家を覗き込むけれど、誰もいる様子はない。
ルルークは目を閉じている。
「……いた。地下だ」
と、ルルークがそういった。
地下にいるらしい。狩人の探知スキルを使っていたんだろう。地下にいることが分かったので地下の入り口を探す。
まぁ、どの場所に入り口があるかわかるスキルはないので、ここは勘でやるしかない。豪運をなめるなよ。
「あった」
とまぁ、こんなふうに運よく見つかりました。
あった場所は一軒家の階段下。階段の下に部屋があり、その隅っこにある。ルルークも反応は近いといっているのでここで間違いなさそうだ。
ただ、地下となるとルルークの狙撃ができない分不利だろう。
「うし、じゃ、いくか」
と、スルトは地下に続く道の扉を開ける。はしごがかかっており、そこから降りろということだろうか。私は飛び降りて飛行スキルでゆっくりと着地すると、猿轡をつけられた犬耳の少女たちもいる。また、他の動物の耳を持った少女も多数いた。
「何もんだあんたら」
と、剣を構えて、今にも切りかかってきそうな男が聞いてくる。
「答える義理はねえよ。さっさと解放しろ。今解放したら斧を使わないでおいてやるから」
と、スルトはそういうが、解放するつもりはないらしい。それを読み取ったのか、スルトは斧の柄を握った。
「やっちまえ!」
「ふん」
そして、山賊たちとの交戦が始まった。




