牢獄の探索 ②
ゆっくりテレビ見てたら地震きた
スルトは持ち前の豪快なパワーで扉をこじ開ける。
山賊だからか迷いが何もなかった。ドアを開けて中を探索する。看守室らしいが看守の姿が一切ない。手抜きだろう。どうせ抜け出せないから……と。ざるすぎる。たしかに地面は掘れないよう加工されているし出口は一つしかないから脱獄は難しい。
だがしかし、ザルすぎる。
「まぁ、この国の体たらくが垣間見える看守室だこと」
ベッドにパジャマ……。人が一人暮らせそうなくらいだった。
看守と偽りさぼりに来れるんだろう。バカだろう。紅茶の茶葉もあるし……。完全に私室と化してるなこの看守室。この国はダメだな……。
「おっ、金があるぜ」
「……盗人みたいだなぁ」
「山賊は殺して奪うが仕事だからな。泥棒も仕事のうちだぜ」
……そういうもんかぁ。
部屋をガサゴソと漁っているとこつん、こつんと足音が聞こえた。まずいな。
「誰か来るよ」
「そうか。隠れる場所はねえし、殺すか」
「さすがに殺しはしないよ!?」
物騒だな!?
私は急いで外に出る。看守と思われる人があくびをしながらこちらに向かってきていた。透明化……する魔法は私にはない。
私は転換し、スルトを持ち上げる。そして、飛行スキルを使った。
「う、浮いてっ……!」
「しーっ」
誰も浮くことができるなんて思わないだろうし空中でやり過ごそう。天井は明かりもなくて暗いし隠れるにはもってつけだろう。
息をひそめ、看守が中に入るのを待つ……。
「あれ、なんで壊れてんだ? 錆で取れたのか?」
そうか壊して入ったんだ。
「まあいいや。扉なんかなくとも」
いいのか!?
そこは不審がれよ! 普通おかしいと思うでしょ! 内側に破られてるんだよ!? つまり誰かが体当たりして取れたという可能性が大きいんだよ!?
看守も仕事できなさすぎる!
「とりあえず奥へ行こう」
飛行スキルで奥へと進んでいく。
奥へ進んでいく。死刑囚は少なかった。
奥へ奥へと進んでいく。この先は私も何があるかは知らない。
「この先に何があるんだろうね」
「さぁな。だが、やばいものが隠されてるとは言っているな」
「やばいもの?」
「ここはやばいものを隠すのにうってつけの場所だからな。死刑囚を扱うだけあり看守は選ばれしもののみ、死刑囚は出歩くことは不可能なので探索される心配はなし。それに、もし知られても死ぬ刑に課せられる人なのだから殺しても構わない。ここは条件がいいんだぜ隠し事には」
「なるほど」
言われてみればその通りだな。
死刑囚というものだから死ぬのを確定づけられているしばれても死ぬのが早くなるだけだし何の問題はないのか。
となると、本当にやばいものが眠っている可能性があるな。
「とまれ」
と、スルトが急に私を引き留めた。
「見えたぜ。デカい鋼鉄の扉が」
と、目の前にあったのはとてもでかい扉だった。
みなさん国が滅びるポイントが〜とか言ってますが次の回でこれ以上に高まります




