ヤンデレシスコン
下水道の探索も終えて、ルシファーが帰ってきた。
ルシファーが元に戻るための呪文を唱えて入れ替わりは無事終了。そして、報告しようと冒険者ギルドへいこうとすると、ティアモが突然倒れたのだった。
襲撃か!?
「お前か……! お姉ちゃんを付け回し困らせているという迷惑なヤンデレビッチは! 成敗してやる!」
妹の美鈴が鬼のような形相で立っていた。
美鈴はティアモの胸倉をつかむ。
「お前はお姉ちゃんを苦しめてるんだ! お姉ちゃんを困らせるなら私が成敗する! ほら、謝って。お姉ちゃんに謝って?」
「うぉ、うぉたぁ!」
「なに? お姉ちゃん」
「もう謝ってくれたからいいよ……。っていうか、やりすぎ……」
ティアモは起き上がる。
美鈴も案外ヤンデレっぽいんだけど……。い、妹ってだいたいこんなものでしょう。うん。妹はこんなもの……。
「……お姉ちゃんって先輩の妹さん?」
「うん。うぉたぁ。可愛いでしょ?」
「お、お姉ちゃん……! やだぁ。お姉ちゃんのほうが数千倍可愛いよぅ」
照れたようにもじもじしている。
いや、私の妹にしては可愛い。お母さんに似たんだな。顔も、胸も……。妹は好きだけど胸があることだけはどうも許せない。姉を差し置いて持つなんて断じて許されざるものだ。
「……シスコン?」
「シスコンで何か問題でも?」
「……いえ」
ティアモはしゅんと目をそらした。
あれだよ。シスコンといっても美鈴は私のためを思ってるんだ。優しい子だよ美鈴は。
「では改めて自己紹介させてもらいますね? ミキお姉ちゃんの妹!で、シスコンのうぉたぁです。お姉ちゃんに迷惑をかける者、すべて排除しますので……!」
「……なんか美鈴ちゃんより過激になった?」
「進化した」
「進化キャンセルしなよ……」
いやいや。基本的にキャンセルはしないからなぁ。
「てぃ、ティアモ、です。先輩の後輩です」
「そこは先輩の恋人、じゃないんですか? 私はそんな風に聞いたけどなぁ」
「……ごめんなさい」
「聞こえませんね。恋人ならもっと堂々としていなくちゃ」
美鈴。怖い。
なんかシスコンにグレードアップがかかってる。悪い方向に成長したような気がする。そういえば最近”ヤンデレ妹は嫌いですか?” という漫画を読んでたけどそれに影響されたかな……。
美鈴はよく妹が主人公の漫画をよく読む。そして、可愛いと思った仕草は私にやってくる。私も可愛いと思ってみている。
「美鈴ちゃん。追い込むのはそこまで」
「えー、お姉ちゃんを困らせたんですからもっと困らせないといけないじゃないですか」
「本人も反省してるから。美鈴やりすぎ」
「うぐっ……ごめんなさいお姉ちゃん」
謝れるいい子だ。
っていうかなんで美鈴もここに来てるんだろう。と、今更疑問が湧き出た……。
ま、作者ティアモそんな嫌いじゃないです。だって美鈴と同類というか、美鈴の他人バージョンみたいなものだし……。