親しき仲にも
ティアモに事情を説明した。
「ええ!? 私と先輩が入れ替わってるんですか!? やっ……なんとかしないといけませんね!」
こいつ絶対喜んでるだろ!
とはいっても、解除呪文を唱えられられない限り不可能なのでクエストを続けたいが、一人減ったことにより時間がかかりそうだなぁ。チリンでも呼ぶか。フレンド~っと……。
あれ、チリンいない……?
「……もしかしてフレンドとかその他もろもろも入れ替わってる!?」
だとするとフレンドいねえ! ティアモフレンド誰もいねえ!
なんだか悲しい事実も見えた気がする。ティアモ。一人だったんだね……。
「ティアモ。チリン呼んで」
「わかりました!」
「というわけです」
ティアモ(私)が事情を説明する。チリンはため息をついて私と私(ティアモ)を見ていた。いやいやいや。あの石板の魔法がこんなことになるなんて思わないでしょ普通。
「まぁ、入れ替わってるのはわかったけどさ。なんで私もゴミ拾いさせるの?」
「チリン暇かなって。あとチリンそういうの気にしないじゃん!」
「……否定できないのが辛い」
チリンは昔からずぼらだからなぁ。
珠洲の部屋に行くとたまに脱ぎっぱなしの下着とか食べかすとか床に転がってた……。本人は全く気にしてないようで。
たまに私が掃除しに行ってるんだよ。
「チリンもいい加減自分の部屋は自分で掃除してね」
「うぐぅ……」
「ゲーム機周りだけきちんとするくせにベッドの下とかは掃除しないんだから……」
「姑かー! いいの! 小言は今はやめて!」
「まぁ、おばさんは掃除しなきゃケンタ〇キーのフライドチキンを食べた後の手でコントローラーとかヘッドギアをべたべた触ってやるとか言ってたし」
「……ちゃんとしますからやめてと伝えてください」
隠す、だとチリンはすぐ見つけるからな。本当に嫌なことをやらなくては反省しないんだよ。それもおばさんは心得てるのか陰湿なことをする……。おばさん本当にやることえげつない。
私は真面目だしお母さんもそんなこと言わないけど。
「……チリン先輩。私より先輩に依存してるような」
「気づいたかティアモ」
「幼馴染だからいいのー!」
「よくないよ。親しき仲にも礼儀あり。わかる?」
というか、夏休みの宿題も私が手伝ってるしチリンの部屋掃除もしてるしなんだかんだ私のほうが助けてばかりなような気がするが。
……そう考えると私もなにかチリンにしてもらいたいな。
「幼馴染だからって許されないものもありますよね」
「ティアモ。その通り」
「う、うわああああん!」
いじめすぎたかな。
チリンはその場で蹲ってしまった。
「チリン。ごめん。本当のことばっかいっちゃだめだったね……」
「……先輩。それトドメ」
「ミキのバカアアアアア!」
うん、ミキが悪い。これはミキごめんなさいしないとね。
無自覚にとどめを刺す癖直したほうがいいよミキちゃん。