強制ログアウト
「さーて! 今日も元気にお手伝いを――」
《エラーが発生しました》
《速やかにログアウトいたします》
……。
なんでだか知らないけれどエラーが起きた。そのせいで強制的にログアウトさせられてしまった。
ヘッドギアを外すと私に似ていないちょっとだけ猫目の妹がそこにいた。
私の顔を覗き込むようにしている。なにをしているんだろうこやつは……。
「……なに」
「あっ、い、生きてた?」
不機嫌な顔で聞くと安心したかのように手をなでおろしていた。
私死んだと思われてたの?
というか、触られるとエラーが起きて強制的にログアウトさせられるのか……。
「生きてるよ。というか、なんで私を起こしたのさ」
「だって帰ってきたらお姉ちゃん死んだかのように寝てるし……心配だったんだもん」
「そうかい」
まあ、心配してくれたのは嬉しい。
「私はゲームしてるだけだから大丈夫だよ。さて、またゲームしてるから今度は起こさないでね」
「わ、わかった」
私はヘッドギアをかぶり、またログインしようと……。
《強制ログアウトをしたため十分間ログイン不可能です》
……。
まって。え? できないの?
「……ログインできない」
えーと、十分間だよね?
計算してみよう。
まず、ゲーム内で一週間過ごす。現実ではおよそ三時間と言っていたから三時間として計算してみようか。
ゲーム内で一週間……つまり七日。24時間を分数で表すと1440分。それが七日分だからかける7して一週間は10080という数値。現実では三時間だから180分。10080割る180……56か。およそ56倍の時間が経過しているってことになる。
10分の56倍の時間っていったら……。
560分。時間で言うと……。9時間20分!?
いや、素人の単純計算だから間違ってるかもしれないけどおよそゲーム内では半日ログインできてないってこと!?
「ぐおお……!」
なんということだ……! 半日もあれば数個は依頼解決できるのにぃ……!
マチちゃんも私のことを待ってるに違いない。あと、あのイケメンの農家さんも……。ログインできないのが辛いいいい!
「……早く十分経たないかな」
なんて呟くのだった。
「ご、ごめんなさい」
妹――名前は美鈴っていう。
美鈴は素直に謝ってきた。中学生になったとはいえ真面目ないい子だ。怒る気にはなれない。むしろ今回の行動は私を心配してくれてやったことだし責め立てることはできないだろうな……。それでなくても私は妹に甘いし、妹もシスコンと言えるくらい好きでいてくれてる。
我ながらいいお姉ちゃんだ。うん。
「気にしないで。それで美鈴? 今日遊びに行くって言ってなかったっけ?」
「あー、うん。行ったんだけど友達のおじいさんが不幸にあったらしくて……。遊べる雰囲気じゃなかったから帰ってきたんだ」
「なるほどねえ。ご愁傷様って学校で言っておいてね」
「うん! ……で、お姉ちゃんがゲームするなんて珍しいね。今までやんなかったのに……」
「……まあ、ね」
「どういう風の吹きまわしなの? もういいの? 怖くないの?」
「もう高校生だよ? そんな前のこと気にしないって。私が気にしてないのに美鈴が気にしちゃだめだよー」
私は今を生きてるからね!
「な、ならいいけど……えっと、何のゲームやってるの?」
「あなざー、あるかぢ……あるかでぃあか。アナザーアルカディアオンラインってやつ」
「あ、それニュースでもやってる! わ、私もやってみようかな」
「おおー、やるなら私手伝ってあげるよ?」
「じゃあやる! ……けどギア……。あ、いや、あったかな? お母さんが前に懸賞で当ててそのままにしてたやつがあったような気がする。ちょっと探してくる!」
といって部屋から出ていったのだった。
そういや当ててたんだっけ。お母さんが神戸牛を狙ったらヘッドギアが当たってちょっと微妙な顔してたっけな。
……というか、十分はまだ経たない、か。時間たつのおっそいなあ。
これ絶対やられたら普通は腹立つやつですよ。VRに関わらず大体のゲームはそうですよね。
ドラ〇エでいう腹立つやつでたとえると竜王との決戦直前でぼうけんのしょが消えてやり直しになるやつですね。いや、それより絶望感はないと思いますけどどちらにせよ嫌ですよね……。
竜王というのはあれですよね。
「世界の半分をやろう」ではいを選ぶとそのままゲームオーバーでしたっけ?
自分はドラク〇にそこまで詳しくなくてやったのが4のDS版と9だけです。はい。9では職業賢者で弓矢使ってましたね。弓矢大好きでした。
二番目に槍。剣でも大丈夫です。理由は魔神斬りとか一閃突きがあるからですね。なぜこれらがいいかって?
メタル狩りできるからという誰でもやるような理由です、はい。
レベルが小さいときはどこかの洞穴でコンベア見たくなるところあってそこではぐれメタル狩り。上がりにくくなったら宝の地図でメタルキング!
ああ、やりたいな。やってこよ。