ゆりゆり後輩ちゃん
「好きです! 付き合ってください!」
と、高校三年生、五月一日。
ゴールデンウイークだけれど学校に来ていた私。将来の進路のことを考えるために来てたわけだけど、校舎裏に呼び出されて告白を受けていた。もちろん私は恋をするつもりはない。好きな人ができるビジョンが思い浮かばない。し、そして……。
「いや、私女子なんだけど」
「私も女子です!」
お互い女子同士ということだった。
いやいやいや。なんで? なんで女子が女子に告白してるんでしょうか? レズ? まさかのレズ? やだ、私はノーマル。
「一目見た時から物静かで落ち着いた雰囲気のあなたが好きでした! ぜひ女子同士でもいいので! 愛に垣根はありません! ですから、女子同士でも立派にカップルになれると思うんです」
と力説してくる。が、よくわからない。
何この子……。性別という概念が存在しない世界からでもきたのか?
「その、私ノーマルだから……。女子と付き合うなんて」
「できますよ! 世の中には男子同士がカップルになったりしているんです! 同性愛だって立派な恋愛! ですので、大丈夫です!」
「いや、私ノーマルだから……」
「今なら女の快感を教えてあげますよ!」
ダメだこの子話聞かない!
バレンタインだよ!? なんでバレンタインにこんな百合百合な人に告白されてるんだよ! 珠洲! 地衣! 助けてえええ!
恋愛漫画ならここで男子に告白されてる! まんがタイムき〇らみたいな展開嫌だって!
「そ、それじゃあ私帰るから! じゃあ!」
「あ、先輩! 待ってください!」
私はその後輩から逃げるようにカバンをもって帰ることにした……。
家に帰りヘッドギアをかぶる。
そして、ログインするとチリンとソゥ様が目の前にいた。
「お、帰ってきたか。って、ずいぶんとやつれてるね」
「……告白された」
「「まじで!?」」
チリンとソゥ様が驚いたように声を上げる。
「ミキにも春が来るか!?」
「……でもその割には嬉しそうじゃないね?」
と、ソゥ様が声をかけてくる。
そりゃそうさ。春が来るとかないない。
「女子に告白されました」
「「…………」」
二人とも黙ってしまった。
チリンが肩に手を置く。女子にモテるね、といってきた。女子にモテそうなのはチリンのほうなのに、私は結構女子にモテる。
自殺未遂したときのこと。入院してたら女子高生が話しかけてきた。「やばい、タイプかも……」と、私の服に手を入れてきたこともあった。あの時はマジで身の危険を感じた。知らない女子高生に手を突っ込まれる恐怖を味わってほしい。
「女子……。私も女子のファンはいるけど女子に恋愛的な感情はむけられたことないなぁ」
「私も男子からならあるけど女子はないな」
「私は男子からないけど女子からはある……」
なんで? やっぱり胸か! おっぱいか! 男子はみんなおっぱいが大事なのか!
「で、告白してきた子の名前は?」
「……花園 愛だったかな」
「ああ、あの清楚でお淑やかだと噂されてる高校一年生の……。百合というイメージないけど」
「私も思ってた」
三年生でもちょくちょく噂に上がる子だった。容姿端麗であり品行方正、成績優秀。漫画の中の登場人物かとツッコミたくなるくらい完璧超人だった彼女。
先生方からの受けもいいし上級生も彼女の虜だったりする。だがしかし、告白は受け付けないとのことだった。裏に呼び出されたとき、私は疑問に思った。けど、まさか愛の告白だとは……。
「そんなにいい子なの?」
「学校内では本当に非の打ち所がない生徒といわれてます」
「そんな子が……。可愛い?」
「まぁ、世間一般でいうと可愛い部類だと思います。世間一般では」
「なぜそこを強調する……」
いやいやいや。真野ちゃんが一番ですから。
世間一般論でも真野ちゃんかもしれない。が、可愛い部類ではある。
「あっ、そうだ。ミキちゃん。クエストいこ?」
「いいですよ!」
私は気を取り直してソゥ様とクエスト行くことにした。
バレンタイン書こうと思ったんですがそういえばバレンタインの話かいたなーって思って。二年生は書いたんで一年生の……とも思ったのですが時系列ごっちゃになりそうでやめました。