郊外の孤児院 ②
感想で返信したんですけど間違って先の展開のことかとおもってそんな風にかえしちゃった……。
「いえ、とりあえずこの世界を久しぶりに観光しようかと思い、飛んで歩いてるんです」
アルテナ様は子供をジャグリングのように宙に回している。器用だなっていうか、それ浮いてるし、子どもたちも「おー」とか「すごーい!」とか喜んでいる。目の前の相手が神様だって知らなさそー……。
で、シスターさんはアルテナ様がいたずらで膝枕しているがいいの? 死んじゃうけど……。
「……でも急に中に入るのもどうかと思いますが」
「いえ、ちゃんと入りますよって神託を託してから……」
神託届いてないでしょ……。どうみても来ることを知らなかったよね? っていうか神託そんなことに使わないの。なんで電話みたいな扱いしてるんですか?
「特に変わった用事はありません。ほら、もうおしまいです」
と、アルテナ様は子供たちを地上に下ろす。
えーとまだ不満があるようだ。口をとがらせる子供たちにアルテナ様は笑顔を向ける。
「いい子にしないと神様から褒められませんよ?」
というとみんな表情を矯正した。扱いわかってるなぁ。
「その意気です。不満があるのはわかりますけれどそれをため込むのも大人の一歩ですから」
……幼い子供に大人のこと教えてどうするんですか。
微妙にわかってねえ……。
「ではお姉さんちょっとこちらのお姉さん方とお話があるので行きますね」
と、シスターさんを浮かせ、私と一緒に教会のほうに向かう。
教会の扉をそっと開くとみんな椅子に座り静かに祈っていた。時刻はちょうど三時。礼拝の時間なんだろうか。
アルテナ様はそれを気にせず中央を歩いていく。神父が怒ろうとアルテナ様を見て、青ざめていた。実際アルテナ様だしそりゃ怒るに怒れないわな……。
「神父様。少々喋らせてもらいます」
と、アルテナ様がいうと神父は一歩後ずさった。
「私の敬虔なる信徒に問います……。国、世界に不満はありませんか」
アルテナ様は真剣な表情でそういった。
信徒のみなさんは互いに顔を見合わせている。
「嘘はいりません。正直にお答えください」
「……その、国に対しては不満があります」
と、おずおず一人のシスターが答える。
「どんなでしょう?」
「……明確に居住層を分けられスラム問題や孤児問題を解決しようとしないのです」
「スラム……。ありましたね。この国にも」
「スラムの人間を追い出そうとする動きもあるみたいなんです!」
こう人々の話を聞くのも神の務めなんだろうか。
人々の不満点を聞き進める。やはりスラムに触れる人がほとんどでありスラムはひどい状況だ、国からも疎まれて……などといった答えが来る。
「貴族だってそうだ。自分の領地だからって好き放題やりまくるやつもいる。この国はもうだめだぁね」
「なるほど。しかと受け止めました」
アルテナ様は何かを決意したかのようだった。
「……ミキ様」
「なんでしょう」
「数年後、もしかしたらこの国滅ぼすかもしれません。よろしいですか?」
と、そんな物騒なことをいってきた。
滅ぼすって……
「滅ぼすかどうかは自分で決めますが……。今のままで変わらないのならもしかしたら……って感じです。お節介焼きなので私は」
「……お手柔らかに」
「正直、今の私は過激な発言をしました。咎めるのならどうぞ」
「しませんよ」
私も、まぁ、ちょっと嫌になってるし……。
アルテナ様は人間に介入し思った以上に可愛がります。
ですがその分過激でもあるので怒らせらたら超まずい。