乗馬スキルゲット
想いの種が思った以上に集まらない。
ゼウス様とグレンの二人分の種しか集まっておらずペースが悪い。この想いの種がこの世界を攻略する方法だとするとものすごい時間がかかる。
「はぁっ!」
だがしかし、そんなことはお構いなしに今馬に乗っていた。
グレンさんが馬に乗れるということで馬の乗り方をレクチャーしてもらっている。馬さえあれば街の移動も多少は楽になるだろう。
あれだ。義経みたく崖下るまでの技術は欲しい。無理そうだけれど。
「一人で乗れるようになりましたね」
と、グレンさんがそういってきた。
乗馬スキルを習得し終えたので練習がてら王都周辺を走り回ることにした。馬を借り、かけていく。馬を使うとものすごく早かった。
馬のスタミナが上に表示されている。どんどん減っていってるし、止まると徐々に回復していく。フルでは使えないということだろう。
馬だって体力はあるんだしね。
でも、早い!
「チリンに自慢できるぞ~」
チリンはまだ習得していない。というか、チリンはグレンさんが馬に乗れるということを知らずにいる。私が馬に乗れると知ったらどうするんだろう?
と、思っていると森の中から人が現れる。鎧を着ているエルフ……チリンだった。
チリンは私を見つけて手を振ろうとして固まった。
「う、馬に乗れてる……? じょ、乗馬スキルどこで!?」
チリンは近づいてきて私の腕をつかんで聞いてくる。
ふふふ、この反応を聞きたかった。チリンは羨ましいと口では言うけれど実際喉から手が出るほど欲しいとは思わない人だ。
もらえるならそれでいいけれど特別欲しいわけでもないという感じのものが多い。だがしかし、乗馬は別。
「いや、ほんとどこで? 私も馬乗りたいんだけど」
乗馬にかんしてはガチで欲しがっていた。
「どこだと思う?」
「じ、焦らさないでよっ!」
「わかったよ。グレンさんだよ」
グレンさんが乗れることを知らないチリン。
「まじで!? うわー、聞いておくべきだった! 今すぐ教えてもらおう!」
チリンは私の後ろにまたがる。
どうやら連れていってほしいそうだ。まあいいけど。ただ……
「馬が重そうにしているから鎧脱いでからあがって」
「あ、わかった」
私たちは女子の中でも平均的な体重だしそこまででもなさそうだけれど鎧は別だ。着ている本人は軽く感じても馬とか他人は重く感じる。
乗馬スキルで鎧を着るときは軽い鎧で乗るようにとも言っていた。
「……ってチリン鎧以外の装備あるの?」
「あるわけないじゃん。初期装備で乗る」
まさかの初期装備。
一年くらいやってきて初期装備をまたみるとは……。チリンは初期装備に着替える。ステータスは鎧の分が減っており魔法受けたら一発で終わりそう……。
「久しぶり! 初心者っぽいなぁ私」
チリンは嬉しそうに馬にまたがる。
「んじゃ、いくよ」
私は馬を走らせた――