スラムのスライム ①
スラムに来たはいいんだけれど……。
貧しい服装ばかりで射られているような視線を感じている。どこかにスライムがいるっていう話だけどどこにいるんだろうか。
……聞き込みをしたいけど嫌な予感だけがする。
「こんな憎たらしいような視線向けられたの初めてだよ……」
「私もです」
ソゥ様とスラムに来ていた。
スラムのスライム。どこにいるんだろう。図体はでかいという話だったからスラムにいたら目立つと思うけれど。
地上にいないなら……地下か?
「……冒険者か?」
「え?」
後ろから声をかけられた。声をかけたのは髭を生やしたおじさん。獲物を射るかのような目でこちらを見ていた。
私はとりあえず頷く。
「……スライムを討伐しに来たのか? それとも、俺たちを追い出すためか?」
「スライムです」
「……そうか。なら、スライムがいる場所に案内する」
といってついてこいというかのように歩き出した。
親切……なのか? というか、俺たちを追い出す? 何を言っているんだ?
「あ、あの。俺たちを追い出すって……?」
「……お前らが知る必要はない」
話そうとしても無視されたりしている。
追い出す……? と、角を曲がると階段があった。そこを男は降りていく。私たちもそれに続いて降りていった。じめじめしている。あまり衛生状態はよくない。
少し臭い……ような気がする。
「……ここがスライムがいる部屋だ。俺たちがここまで追い込んだ」
と、扉が開かれる。
そこは、ものすごく大きな広間だった。王国の地下にこんな広間があったのか。そして、目の前には紫色のスライムがいた。
ぶよぶよと体が動いている。
「ここは元裏闘技場。戦える広さは残っているはずだ。なんとかしてくれよ」
「わかりました」
「……こいつには仲間がたくさん食われた。倒してくれたらすべて話してやる」
「……倒します」
私たちは構える。
スライムという魔物は打撃を完全無効にするので侮れない敵だ。斬撃は半減ではなく四分の一まで軽減するほど物理体耐性がすごい。が、その反面、魔法には総じて弱い。なのでチリンは連れてこなかった。
名前はダストスライムというらしい。レベルも40とまだ低い。これはすぐ終わるだろう。
すぐに終わらせる。
「スライムには触れるなよ。毒になっちまうからな。あのスライムは毒で弱らせてから捕食する。ここに追い込むだけでも複数の仲間を犠牲にした。ここに放置してもどんどんでかくなっていく。あんたらが倒さないとスラムは終わっちまう。だから、よろしく頼む」
と、頭を下げてきた。
いいでしょう。このミキちゃんに任せなさい。スライム如きちょちょいのちょいですよ。
まあミキちゃんにとっては雑魚なんで
次回、スライム死す。デュエルスタンバイ!