幼女と探検
「精霊王様! あの人困ってる!」
翌日。
私は邪精霊に懐かれてしまった。私の後を追っかけてくる邪精霊。従順な子で依存してしまう傾向がある精霊だなこりゃ。
ついてこないでと軽くいうと涙目になって「私いらないの……?」って訴えてきた。悪女だよ。私は引っかかったもん!
「精霊王様! いいところに! そちらは子供さんで?」
「いや、私の配下? 眷属? 部下? の邪精霊……じゃなかった。マチです」
「マチちゃんか! 飴舐めるかい?」
「舐めます!」
農家のおじさんから飴をもらい、口に含んでいた。
私も一つもらい、口に放り込む。イチゴ味。
「それでお願いというのは?」
「お願いというのはこの土のことなんです。どうも、水はけが悪くなっているようで雨になると一向に水がたまっちゃうんです。どうにかなりませんかね?」
「まあ、できると思いますよ?」
「そうですか! さすがは精霊王さまだ!」
私は、土魔法を使おうと地面に手をつくと……。
「マチやりたい」
「え? マチできるの?」
「う、うん。邪精霊は器用貧乏って言われてるから……」
詳しく聞くと全属性は扱えるけど属性精霊には負けるらしい。そしてマチは精霊の中で一番魔法が下手らしくどうにも植物を枯らしてしまうとか。
まあ、土を耕すくらいなら大丈夫かな?
「じゃ、じゃあいくよ! 土さん! お願い!」
すると、土はいっきに盛り上がった。それはもう、巨大な山になった。
畑が、山になった瞬間でもあった。
「こ、これじゃあ農業できねえ!?」
「……精霊王様。ごめんなさい」
「大丈夫だよー」
私は精霊魔法を唱えて土を元に戻す。そして、土を作り、それと元の土を混ぜ合わせる。これで多少は改善されるかな?
試しに水を撒くと地面に吸収されていった。
「ありがとうございます!精霊王様。これ、少ないお礼ですがどうぞ」
ともらったのは飴だった。
マチちゃんは子供らしく、「たーんけんっ、たーんけんっ」とはしゃいでいる。
昨日のことが嘘みたいだ。可愛いからいいんだけどね?
まあ、今から向かっているのは精霊樹なんだけども。
なぜかというと、精霊樹を復活させるためだ。あそこは復活させないといけないような気がする。だから復活させてみる。
「……私が枯らした精霊樹だ」
「そう。私が今からやるのは精霊樹の復活です」
「……私も手伝う」
と、そっぽ向いて言う。罪悪感があるんだろうな。自分が枯らしちゃったという罪悪感が。
「うん。じゃあ、応援しててくれるかな? 私そしたら頑張っちゃうから」
「う、うん。頑張ってください!精霊王様!」
「ガンバる!」
私は精霊魔法の土を唱える。
残念ながら植物属性はない。だから土属性だろうという勝手なイメージ。栄養のいい土と水をまき、光属性をまとわせる。
回復が早いのか、枯れていた幹はどんどんと緑色に染まり始め、葉っぱが付き始めた。再生能力はめちゃくそ高いな……。
もう、復活し終わった。
というか、前より一層元気になった。精霊王の力ってスゲー!
「MP切れた……」
そう、度重なる魔法の酷使によりわたしのMPは、もう、底をついた。
「今日は早いけどもう帰ろう」
MPないしね。