王都ギルドへ訪問 ②
ギルドの応接間に案内された。
お茶を啜る。なんで私はこの場にいるんだろう。
「アルテナ様の使い様。本日はどのようなご用件で?」
ああ、アルテナ様の使い。
きっとカリオス伯爵がそう手紙に書いていたんだろう。別にそんなんじゃないけどまぁいいや。待遇いいのは結構好きだし。いや、待遇に甘えててもダメだけど……。
「いや、めぼしい依頼ないかなって思ったんで」
「……お金に困っておられるのですか?」
「まぁそういう感じかな?」
お金に困って焦っているわけじゃないけれど。
でも、宿借りれるようなお金は欲しい。いつまでもカリオス伯爵の屋敷を拠点にするわけにもいかないからな……。
Eランクだからそれほど美味しい依頼はないと思うけれど。
「ならギルドで支援いたしましょう」
「……いや、いいですよ」
「なにをおっしゃる。アルテナ様の使いはアルテナ様に一番近いお方。困っていれば助けます」
「普通に稼げるから……。どうしてもっていうなら高額な賞金がある依頼を受けたい」
「依頼……ですか」
ギルド長が何か思索していた。
何か書類を持ってこさせた。そして、ぺらぺらとめくっていく。
「賞金が高いとなると高ランクの依頼しかありませんが大丈夫でしょうか」
「そりゃそうか……。いいですよ」
「なら、こういうのはどうでしょう? ”お化け屋敷”というクエストは」
お化け屋敷?
「王都の中にある屋敷にお化けがでるというかアンデッドが湧いたのです。しかもボスがエターナルデッドというA級魔物です。体力はそこまで高くないのですが物理体制がすごくまた魔法耐性もすごいのでみんなやりたがらないのですが……」
……それもうやってる。
お化け屋敷ってあの屋敷か。あの屋敷クエストにあったんだな……。
「それ、私昨日討伐しました」
「……もはや討伐していたとは。なら、受けたことにいたしまして賞金を……」
「……ならそれはありがたく」
前受けしたって感じで受け取りましょう。
すでに倒してたから楽できたけど倒してなかったら私は絶対受けなかった。ホラーダメだし。あの時も私結局回復しかしてないし。
賞金の20万アルテを受け取った。
「ほかに受けられますか?」
「受けようかな。何かありますか?」
「なら……スラムのスライムというのは?」
なにそれ。ダジャレ?
「スラムにでかいスライムがいて夜な夜な人を襲って食べてしまうそうです。最初はDランクの依頼でしたがスライムに物理が効かずまた体力もバカ高くて逃げかえってきました。それからというもの誰も倒せずにいて……。スラムなので国も動かないしスラム街にしか未だに被害はないので冒険者ギルドで扱っています」
スラム街だから国は動かないって……。スラムも自分の国の一つだろ、とは思うけど。
スライムか。スライムなら大丈夫だ。ただ、物理が効かないとなるとチリンは完全にお荷物だしな……。ソゥ様でも連れていこうかな。
「ならそれやりましょう。スラム街の地図とあと、図書館の地図をお願いできますか?」
「調べものでもするのですか? わかりました。用意いたしますので少々お待ちください」
スライム、ねぇ。