夜の探検 ⑤
夜が明けた――
吸血鬼であるヴァンビーは寝る時間ということらしく暗いところに引きこもった。吸血鬼だから日光に弱いんだろう。
で、私たちは外に出ると、ウリエルが手を振っている。その後ろには泣きじゃくる子供たちとそのお母さんたちがいた。
私はウリエルに近寄っていく。
「本当にありがとうございました! うちの息子を助けていただいて……」
他の二人の女性も頭を下げてくる。
正直怖かった。けど、今回はあまり取り乱さなかったような気がする。本当に守らなくちゃいけないとおもったらそこまで慌てないのかもしれない。
「いえいえ。大丈夫です。私も引き留めるのが遅かったので私にも原因はありますから」
少年たちのお母さんは頭を上げる。
そして、私に近寄ってきた。近い……。
「名前はなんていうのですか?」
「み、ミキ、です」
「ミキさん。ありがとうございます。お礼をしたいのでぜひ今度我が家に……」
「え、いや、お礼はいいですよ」
「させてください! このバカ息子でも私の大事な息子なので……。下手したら死んでいたかと思うとぞっとするんです」
といわれた。
たしかに、あのまま子供たちだけでいっていたのなら死んでいただろう。エターナルデッドというアンデッドのせいで。
いや、私もまさか肝試しであんなものと出会うなんて思ってなかったしね……。
「なら、少々お金を貸していただけませんか? 少し買いたいものがあって」
「返していただかなくても結構です。お礼なら弾みます」
「いえ、きちんと返しますよ。稼ごうと思えばいつでも稼げますから」
冒険者だし適当に依頼をこなしていたら余裕だろう。だからそれほどお金に困ることはない。
「本当にお礼はいいですから。私から一つ言えるのは子供たちに危険を冒させないようにしてくださいということぐらいですかね」
「わかりました。きちんと教育はしておきます」
そして、今も泣きじゃくる子供たちに近寄る。そして、一発拳固をくれてやった。ごつんと三人に。子供たちは余計泣きまくった。
「君たちが無茶するからお姉さんたちも死にそうな目に遭ったんだよ。これからはなにがあるか考えて慎重に行動すること。君たちの安易な行動で誰かが傷つくことを忘れないでね」
「ごめんなさいっ……!」
「説教は終わり。ほら、もう帰りな」
少年たちを撫でてあげた。
これで懲りたらいいんだけどな。それにしても、親は普通にいい人でよかった。ひどい場合だとモンスターペアレントというのがあるしね。私の行動のせいで傷ついたって訴えてくる親もいて。私は何もしてないし、むしろされているほうなのに……。と思っていたこともあったなぁ。
あまり他人の親は好きじゃない。
そして、少年たちは帰っていった。
ウリエルは、ちらりと横を見る。
「……ミキ様。あれらは誰です?」
と、ウリエルはガブリエルとラファエルに指をさす。
「ガブリエルとラファエルだよ」
「……成長していませんか? なんだか随分と大人という感じに見えるのですが」
「成長したんだよ。いろいろと」
「……いいなぁ! あんな風になったらいろいろと仕事捗りそう!」
仕事捗りそうとかいう時点でもう社畜根性あるなウリエル……。
仕事脳になるあたり流石だと思う。
「……ウリエル。私も取り残されているんだ。仲良くやろうな」
「ミカエル……!」
なんだか百合の気配がする。男子百合に混ざるべからず。いや、私男子じゃないけど……。
……胸ないから男子なわけじゃないからな。胸無くても女子だからな。胸の有無で女性が男性か決めないでよ。