夜の探検 ④
ルシファーがエターナルデッドとつばぜり合いをしていた。
ラファエルも聖水で攻撃し、ガブリエルはお札を必死に飛ばしていた。エターナルデッドはまだぴんぴん動いている。
頭は悪いのかルシファーで足止めを食らっていた。
「さすがは不死族だ。力で私と張り合えるとはな」
ルシファーは不敵に笑った。
と、その時、ラファエルとガブリエルが突然倒れたのだった。背後にもいたことをわからなかったのか攻撃を受けたらしい。
ガブリエルとラファエルに回復魔法をかけた。
「貴様一人じゃなかったのか……! ラファエル、ガブリエル! それぞれ相手をしろ!」
「わ、わかりました」
「お札足りますかねえ」
ラファエルは聖水をばらまく。水を操るラファエルは聖水を。ガブリエルはお札を使って相手どるようだ。ルシファーは剣に光をまとわせる。
私は回復要員だ。攻撃? ルシファーたちに任せることにした。
「浄化なさい!」
「成仏しろーーーー!」
ラファエルは聖水を勢いよく噴射した。アンデッドは溶けていく。聖水は威力があるのか、ラファエルはすぐに相手し終わった。が、ガブリエルはまだ戦闘をしている。
お札を飛ばしながら逃げている。ちょこちょこ攻撃するガブリエルだった。だがしかし、それすることにも飽きたのか立ち止まる。そして、野球のボールを投げるかのように大きく構えた。
「もうめんどくさい!」
と、本を投げつけた。分厚い本はアンデッドに当たると、アンデッドが塵と化して消えていく。本もなくなったのだった。
「私が書いた聖書が消えてしまったけど大丈夫ですね!」
ガブリエルは案外大雑把だった。あの本は聖書であったらしい。聖書にもアンデッドを成仏させる効果があるんだ。聖書だからだろうか。
「他愛もない!」
ルシファーは足でエターナルデッドの足を薙ぎ払う。
バランスを崩したのか、その場に倒れた。そして、ルシファーは思い切り剣で突き刺した。エターナルデッドは「オォ……!」と喚いて消えていく。
意外と楽勝な敵だったな。と思いながらルシファーに近づき、労いの言葉をかける。
「お疲れ」
「ありがとうございます。主様」
本当にこんなあっさり勝てるもんかという疑問もある。が、ボスは確かに消えた。これで終わり……なわけがなさそうだ。
ラファエルと、ガブリエルの様子が少しおかしい。
二人が突然光りだした。
「ああああああ!!!」
苦しそうに叫ぶ。
二人は宙に舞い上がる。そして、光が収まると、二人の羽根がでかくなっていてどこか大人びた雰囲気を感じ取れた。
「……なにがおきた」
「……進化、っぽいですね」
「進化したぁ!」
ガブリエルとラファエルは喜んでいた。
身長もすこし伸びたのか子供が大人になったかのように大きくなった。ルシファーと互角ぐらいの身長になっている。私が身長159くらいだし、私とあまた一つくらい違う。私と同じくらいの身長だったはずなのに……。
鑑定してみると二人の名前が少し変わっていた。
”大熾天使 ガブリエル”と”大熾天使 ラファエル”になっていた。ミカエルたちは熾天使だけだったけれどそれより進化したらしい。こんな大人びた感じになるのか……。
「わーい!」
「やりましたね」
二人は喜んでいる。
すると、突然扉が開かれた。
「終わったか!」
と、ミカエルが突入してくる。そして、ミカエルはガブリエルのほうを向いた。
「ええーーーっ!?」
「ミカエル、いえーい」
ミカエルは成長したガブリエルに驚いている。
ラファエルとガブリエルとルシファーを見比べていた。
「なな、なんででかくなってるんだ!?」
「進化して大熾天使になりました。どやっ」
「ふふっ」
ミカエルは自分を見た。
ミカエルは進化なんてしておらず、まだ高校生くらいかという感じの雰囲気。なぜ進化したのか、多分エターナルデッドを相手したからだと思われる……。
「……ルシファーも進化遂げてるのかっ?」
「私はしていない。堕天使である以上しないのだろう」
「……は、早く私も大人になりたいのだが!」
と、ミカエルの後ろに誰かがいるのに気づいた。
ミカエルを見て微笑ましく笑っている。
「ミカエル、後ろの人は?」
「私は吸血鬼のヴァンビーだ」
吸血鬼……。
「大熾天使が二人もいるとはたまげたな。敵に回したくないものだ」
「……ずりいよ二人だけ」
ミカエルは少しいじけていた。
ミカエルは普段から戦ってはいるけれど戦闘特化というだけあり進化するには結構かかります。ルシファーは堕天使なので進化することができません。
天使の中で唯一戦闘特化なのでミカエルは。仕方ないね。